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【食いしばりと顎関節症(TMD)】 なぜ起こる?どんな症状?どう治す?

2025/12/09

こんにちは、静岡市駿河区石田の小嶋デンタルクリニックです。

最近、患者さんから「食いしばりって顎関節症と関係ありますか?」「音が鳴るのも食いしばりのせい?」といった質問をいただくことが増えてきました。
今日は、食いしばりと顎関節症の“医学的なつながりを中心に、
症状・原因・治療法までをわかりやすくまとめます。

1. 食いしばりと顎関節症の関係性 ― 特に顎関節症Ⅰ型とのつながり

顎関節症(TMD)は、大きく4つの病型に分類されますが、
食いしばりと最も強く関連しているのは「Ⅰ型(咀嚼筋障害)」です。

● 顎関節症Ⅰ型とは?
* 主に 咀嚼筋(特に咬筋・側頭筋)の痛み・緊張 が主体
* 顎関節そのものより、筋肉の過負荷が原因
* 開口障害(口が開けづらい) や 咀嚼時の痛み が起こる

● なぜ食いしばりで発症する?(エビデンス)
日本顎関節学会・米国AAOP(American Academy of Orofacial Pain)の分類では、
持続的なクレンチング(食いしばり)=咀嚼筋への過負荷 → 筋障害
という構造が明確に示されています。
* 夜間の無意識の食いしばり
* 日中の作業中・運動中・ストレス時のクレンチング
* 奥歯の接触癖(TCH)
これらが蓄積すると筋が疲弊し、痛みや開口障害につながります。

2. 「顎の音が鳴る」のは食いしばりのせい?

これは多くの方が誤解しているポイントです。
結論:
顎の音=食いしばりが原因であることはほとんどない


顎のクリック音・カクカク鳴る症状は、
顎関節症Ⅲ型(関節円板障害) がもっとも多く、
特に Ⅲa:復位性関節円板障害(クリック音) が典型です。
* 関節円板が正常位置からズレている
* 口の開閉で円板がはまり直す時に「カクッ」と音が鳴る

食いしばりが直接の原因になることは少なく、
円板の形態・靭帯の緩み・咬合力の偏りなどが主因と考えられています。
ただし、Ⅲ型を持っている方が食いしばりを併発すると痛みが悪化することはあります。

つまり、
食いしばりが音を作るのではなく、音がある関節に追加の負荷を与えて症状を進行させる
という関係です。

3. 食いしばりの症状チェックリスト

* 朝起きると顎がだるい
* こめかみや頬が痛い
* 口が開きにくい
* 頬の内側をよく噛む
* 歯がすり減っていると言われた
* 頭痛・肩こりがある
ひとつでも当てはまれば、筋性TMD(Ⅰ型)の可能性があります。

4. 治療の流れ(当院での実際のアプローチ)

① マッサージ・セルフケア
まずは筋肉の緊張を取り除くことが重要。
* 咬筋マッサージ
* 側頭筋マッサージ
* 開口ストレッチ
* TCH是正(歯を離す習慣づけ)
医学的にも筋痛型TMDの初期治療として推奨されています。

② スプリント療法(ナイトガード)
睡眠中の食いしばり・噛みしめをコントロールする標準治療。
* 咀嚼筋の過緊張を軽減
* 関節への負荷を減らす
* 歯の摩耗の防止にも効果的
顎関節学会ガイドラインでも第一選択として位置づけられています。

③ ボトックス治療(咬筋)
強い咬筋肥大や、筋痛の慢性化がある方には選択肢となります。
* 咬筋の活動性をコントロール
* 痛みの軽減
* 咬筋の大きさも徐々に変化
* 美容目的だけでなく、TMD治療としてのエビデンスも確立
特に夜間の強いクレンチングがある方には有効です。

5. まとめ ― まずは正確な診断から

* 食いしばり → 筋性TMD(Ⅰ型)と深く関係する
* 顎の音 → 多くはⅢa(関節円板障害)。食いしばりが直接の原因ではない
* 治療は マッサージ → スプリント → ボトックス の順で考える
* 病型によって治療は異なるため、まずは診断が最も重要
顎は毎日休まず働く器官。
痛みや違和感があるのにそのまま頑張ってしまうと、
静かに悲鳴をあげるように症状が進んでいきます。

気になる方はご相談ください。


コジデン理事長ブログ(様々なことをゆる〜く書いています)

→ https://ameblo.jp/kojima-dental
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→ https://ryu-implant.net

監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
小嶋デンタルクリニック 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕


静岡市出身
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。

〔所属学会・所属団体〕


歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会)
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
静岡市歯科医師会 2020-2022 理事
静岡市介護認定審査委員