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原因不明の奥歯の痛み──実は歯根膜が原因かも?

2025/08/01

こんにちは。静岡市駿河区にある歯科医院、小嶋デンタルクリニックです。


「なんとなく奥歯が痛いんです」──でも虫歯はない?

ある日、「奥歯がズキズキする」と訴えて来院された患者様がいらっしゃいました。
よくある歯の痛みの原因には以下が挙げられます:
* 虫歯の進行による神経の炎症
* 歯周病や歯肉の腫れによる痛み
* 過去の治療部位(詰め物や被せ物)の不具合
* 知覚過敏
ところが、この方の場合、虫歯もなく、歯周病も進行しておらず、歯肉の腫れもなし。
レントゲンでも特に異常は見られませんでした。

唯一見逃せなかったのは「歯根膜腔の拡大」

レントゲン所見として唯一確認できたのが、歯根膜腔の拡大。
これは、歯と骨を繋ぐ「歯根膜」と呼ばれるクッションの部分が炎症を起こしているサインです。
さらに「歯周ポケット」の深さを確認すると、全周にわたって正常値。
このことから、歯根破折の可能性は低いと判断されました。

原因は咬耗とくいしばり

ではなぜ歯根膜が炎症を起こしていたのか?
その答えは、咬耗(こうもう)=歯のすり減りでした。
* 奥歯の咬耗が顕著で、象牙質が露出
* 頬の内側にくいしばりによる圧痕
* 咬合接触が点ではなく面で起こっている
これらの要因が重なり、「咬合性外傷」を引き起こしていました。
結果として、急性単純性歯髄炎(軽度の神経の炎症)+知覚過敏という状態です。

治療はそっと見守るが基本

このようなケースでは、原因が細菌ではないため、抗生剤や洗浄では改善しません。
また、神経を早期に取ることも避けるべき。
神経が興奮状態にある「単純性歯髄炎」は、刺激を避けて安静にすることで回復する可能性が高いのです。
治療のステップは以下の通り:

今回の治療の流れ

1. 診査・診断
 → 虫歯・歯周病・歯根破折など細菌感染は否定
2. 軽度の処置
 → 咬合調整、知覚過敏抑制処置、必要に応じてナイトガード(マウスピース)作成
3. 経過観察
 → 症状が改善すれば処置終了
 → 改善しない場合や悪化時には、神経の治療へ移行

「原因がわからない痛み」こそ、慎重な診断を

痛みがあると、どうしても「すぐ治療を!」と思ってしまいますが、
むやみに神経を取ることは歯の寿命を縮めることにも繋がります。
当院ではできるだけ神経を温存する方針で治療を進めます。
同じような症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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→ https://ryu-implant.net

監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
小嶋デンタルクリニック 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕


静岡市出身
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。

〔所属学会・所属団体〕


歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会)
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
静岡市歯科医師会 2020-2022 理事
静岡市介護認定審査委員