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インプラント1本あたりの費用相場は?分割払いの方法や格安インプラントのリスクを解説

2023/09/22

インプラント治療は、チタン製のネジを顎の骨に直接埋め込む処置を行うため、通常の歯科治療より費用が高額です。

できるだけ費用を抑えようと格安インプラントに手を出す方もいますが、長期的な視点で歯を大切にしたいのであれば、事前知識が必要です。

本記事では、インプラント治療1本あたりの費用相場、保険が適用されるか、治療費が高い理由、経済的な負担を減らす方法についてお伝えします。


 インプラント1本の費用相場

まず、インプラント費用の相場を把握するために「前歯1本」「奥歯1本」「全部」の3つにわけて見ていきましょう。

 前歯1本あたり奥歯1本あたり全部の歯
検査・診察料15,000〜50,000円15,000〜50,000円15,000〜50,000円
手術費用150,000〜350,000円150,000〜350,000円120,000〜1,800,000円
インプラント(人工歯)の費用80,000〜200,000円50,000〜180,000円60,000〜2,400,000円
合計245,000〜600,000円215,000〜580,000円1,950,000〜4,250,000円

それぞれのインプラント費用について解説します。

前歯1本あたりのインプラント治療の費用

前歯は、笑った時など口を開くたびに見える部分であるため、審美性が重視されるパーツです。

周りの歯の形や大きさ、色などに合わせて、自然で目立たないようにする技術が求められるため、合計245,000〜600,000円と奥歯よりもインプラント自体の費用が高くなりやすいのが特徴です。

前歯が抜けて時間が経過するとインプラントを埋め込むために必要な骨の厚さが足りないケースでは「骨造成手術」が必要になります。

また、歯茎の厚みが足りないときは「CTG(結合組織移植術)」や「FGG(遊離歯肉移植術)」で歯茎のボリュームを増す手術が必要です。

このように術前や術後にインプラントの埋め込みとは別の手術が必要と判断されれば、別途費用が発生します。

奥歯1本あたりのインプラント治療の費用

奥歯は、食べ物をしっかりと噛んで胃腸への負担を減らす役割や、発音、輪郭への影響が大きいため機能性が重視されるパーツです。

上顎の施術では、十分な骨の厚みがなければ空洞部分にインプラントが突き抜けてしまう「上顎洞炎」を患うリスクがあるため、インプラント治療ができない可能性があります。

一方、下顎の施術では、舌の感覚を司る神経が通っており、インプラントが神経に間違って接触すると神経障害をひき起こすリスクがあります。

奥歯1本あたりの相場は、215,000〜580,000円が一般的です。

術前に「歯科用CT」と呼ばれる事前検査を丁寧に行えば、奥歯の施術によるリスクは最小限に抑えられるため、歯医者選びが重要です。

全部の歯を失ったインプラント治療の費用

全部の歯をインプラントにする場合、近年では「All-on-4」と呼ばれる治療法になります。

従来のインプラント治療では、全ての失った歯ごとにインプラントの埋め込みが必要で、身体面、費用面の負担が1,950,000〜4,250,000円と大きくなります。

しかし最近では上と下でそれぞれ4本のみのインプラントを埋め込み、すべての歯を補える手法が採用されており、以前より患者側の負担が減りました。

骨移植や骨造成手術の必要性も無くなったため、事前検査をして歯によほどの異常がなければ、総入れ歯で悩んでいる方にぴったりな治療法といえるでしょう。


インプラントは保険適用外の施術

インプラントは、以下のような特殊な条件に当てはまらない限り、保険が適用されません。

  • 病気や事故などで事故などで顎の骨の広範囲を損傷した
  • 先天性な以上により顎の骨が1/3以上無くしている


このように、インプラント治療で保険が適用されるケースは特殊なため、虫歯や歯周病などの理由では自由診療になります。

失った歯を保険適用で処置したい場合、インプラントの代わりにブリッジ、入れ歯などの手法を検討しなければなりません。

保険が適用されれば、インプラント治療より安価に済みますが、ブリッジや入れ歯は周りの健康な歯を抜いたり削ったりするためデメリットも伴います。


インプラント治療の費用が高い理由

インプラント治療が高い理由は3つあります。

  • 治療するための設備にお金がかかる
  • インプラント自体が高価である
  • 治療期間が長くなる


それぞれの理由について解説します。

治療するための設備にお金がかかる

インプラント治療は、虫歯や歯周病のような一般的な歯科治療とは異なり「外科手術」になるため、通常よりも設備費用がかかります。

口内や顎の骨の状態を正しく把握するための歯科用3DCTなどの最新機器、衛生管理を徹底した治療室などの設備代が治療費の一部に含まれています。

さらに実際に口内に埋め込むインプラント、人口歯冠、アバットメントなどの歯科材料の準備も費用に含まれるため、高額になっているのです。

インプラント自体が高価である

インプラント治療の実績と技術の高い歯科医院は、患者に使うインプラントをどこから購入するかを重視しています。

実際にインプラントを生産しているメーカーは数多くありますが、安全面や品質面で優れているメーカーの商品は、もちろん高価なものばかりです。

術後に「体質に合わない素材だった」「噛んだ時にインプラントが壊れた」などのトラブルを引き起こさないためには、インプラント選びが大切です。

費用が安すぎると、インプラントの仕入れ先が不透明なケースも散見されるため、どのメーカーの製品を使用しているかどうかも事前に確認しておきましょう。

治療期間が長くなる

インプラント治療は、術前の検査から治療の工程が多く設けられており、一般的には4〜5ヶ月ほど、骨が薄いと判断されれば7〜13ヶ月の治療期間が必要です。

その都度、診察料や治療費を支払わなければならないため、通常の歯科治療より総支払額が高額になる傾向にあります。

全ての治療工程は重要ですので、検査を簡単に済ませたり、アフターフォローがついていない歯科医を利用するのはおすすめしません。


インプラント費用が負担に感じる場合は「分割払い」を検討する

インプラント治療を安く抑えようとすると品質や安全性が保証されなくなるリスクがあるため、格安インプラント治療は推奨しません。

インプラント費用の支払いが負担に感じるけれど、治療を受けたいと考えている方は、以下の3つの分割方法の利用を検討しましょう。

  • クレジットカード払い
  • デンタルローン
  • 院内分割


それぞれの分割払いについて解説します。

クレジットカード払い

クレジットカード払いに対応している歯科医院を利用する場合、クレジットカードの分割払いを利用する方法があります。

クレジットカードの分割払いであれば、金融会社との契約になるため、歯科医院を介さずに外部で分割払いの手続きがおこなえます。

クレジットカードを所有していて、滞納や未納の履歴がない方であれば、基本的には審査なしで分割払いができるので便利です。

ただし、クレジットカードの分割払いは金利が約15%と高額に設定されているため、月々の支払いは少なくても、総支払額が高くなる点を理解しておきましょう。

デンタルローン

インプラント手術を受ける歯科医院がデンタルローン会社と契約している場合、5〜8%の低金利で分割払いが利用できます。

デンタルローンとは、支払い義務のある患者の代わりにデンタルローン会社が歯科治療専門のローン商品(インプラント手術を含む)の建て替えをする仕組みです。

クレジットカードは、患者と金融機関の二者間で契約を組みますが、デンタルローンは患者とデンタルローン会社と歯科医院の三者間で契約を組みます。

デンタルローン会社は複数ありますが、基本的には歯科医院が利用しているところとの契約になるため、患者自身は選べません。

また、事前審査を要するため、就業状況や返済記録によっては利用できない可能性を理解しておきましょう。

院内分割(現金)

ごく稀に歯科医院独自のプランとして院内分割に対応しているケースがあります。

クレジットカードやデンタルローンとは異なり、事前審査の必要がなく、分割しても金利が発生しないため支払い総額が変わらないなど多くのメリットがあります。

支払方法は、現金、クレジットカード、銀行振込など多種多様に対応しているため、クレジットカードがない方、ローン審査に落ちた方でも利用しやすい点が魅力です。

唯一のデメリットとして、院内分割は歯科医院側の損害リスクが伴うため、すべての歯科医院が対応しているわけではない点が挙げられます。

公式ホームページを確認したり、直接問い合わせて、契約前に確認しましょう。


インプラント治療を受ける歯医者の選び方

インプラント治療を受ける歯医者の選び方は5つあります。

  • 入念なカウンセリング・問診があるか
  • 資格を持っているだけでなく技術が十分か
  • 定期的に研修会に行っているか
  • スタッフの対応が良いか
  • インプラント治療以外で口内事情に詳しいか


それぞれの選び方について解説します。

入念なカウンセリング・問診があるか

インプラントは「外科手術」であるとお伝えしたとおり、通常の歯科治療と比べて専門性が高いため、患者自身も施術内容を正しく理解する必要があります。

口内の状態やどのようなインプラントを使用するかによって費用総額も大きく変動するため、費用面で不安を持つ方も多いでしょう。

悪質性の高い歯科医院では、カウンセリングで費用の内訳、施術内容、リスクについての説明を省略して契約させようとする事例が散見されます。

都合の良い説明のみで治療を勧めてきたり、不安や疑問に寄り添う姿勢を持たない歯科医は、長期的なインプラント治療には向きません。

ご自身が安心して最後まで施術を受けられそうかどうか、カウンセリングの雰囲気で決めるようにしましょう。

資格を持っているだけではなく技術が十分か

インプラントには「認定医」「専門医」「指導医」などさまざまな資格がありますが、資格があるからといって技術力が十分であるとは断定できません。

十分な症例数があるかどうか、歯科医院でインプラント治療を受けた患者たちからの評判が良いかどうか、を事前にリサーチしておくと安心です。

Googleマップやブラウザ検索で、実際の利用者から寄せられた口コミが掲載されているサイトも多くあるので確認してみましょう。

定期的に研修会に行っているか

インプラント治療は比較的新しい手術方法のため、常に新しい情報や技術が更新されています。

実際に、以前までは全ての歯をインプラントにする場合、1本ずつ埋め込む必要があったものの、現在は4本のインプラントで上下それぞれの歯を治療できるようになりました。

新しい情報や技術を得るためには、定期的に研修会や勉強会への参加が必要です。

直接質問するのも良いですが、ブログや公式サイトで研修会や勉強会に参加した旨のアップデートがあれば、安心できます。

スタッフの対応が良いか

インプラント治療は、一般的には4〜5ヶ月ほど、骨が薄いと判断されれば7〜13ヶ月の治療期間が必要です。

どんなに腕の良い医師に担当してもらっていたとしても、受付や歯科衛生士、歯科助手などのスタッフの対応や動きが悪いと通院のストレスになる可能性があります。

逆にスタッフの対応が良ければ、「がんばって通い続けよう」とモチベーションにつながるので、カウンセリング時の雰囲気も重要です。

インプラント治療以外の部分で口内事情に詳しいか

インプラント治療は、手術自体の技術力や知識も求められますが、術前と術後の口内の検査やメンテナンスが重要です。

とくに、インプラントにした歯は虫歯になるリスクはないものの、自然の歯以上に歯周病になるリスクが高まるため、定期的な検診をしたほうが良いでしょう。

インプラント治療が終わってからも、数ヶ月に一回のペースで通い続けて、口内の状態に合わせて最適な処置をしてもらえる先生かどうかも確認しておくと安心です。


インプラント治療を安さのみで選ぶリスク

インプラント治療を安さのみで選ぶリスクは2つあります。

  • 治療工程を飛ばしている
  • インプラントの素材の質が悪い


それぞれのリスクについて解説します。

治療工程を飛ばしている

インプラント治療費が極端に安いと、必要な治療工程を省略している可能性があるため注意が必要です。

インプラントを埋め込む手術を行う前に、顎の骨が十分に足りているかどうかの検査、周りの歯の健康状態を確認し、必要に応じて手術のための治療が必要です。

実際に、骨が薄いと判断されれば骨を増やす施術を、周りの歯に問題があれば虫歯治療などを行なわなければ、術後に問題が生じる可能性があります。

また、術後は骨とインプラントが結合するまでに適切な時間をかけて、問題なく体に馴染んだと分かってから次の工程に進むのが一般的です。

しかしインプラント治療の費用を安くするために口内の状態を十分に確認しないまま、治療を終わらせてしまうケースもあるため、注意が必要です。

インプラント治療は安全性を保証するために、検査やアフターフォローが重要である点を理解して、極端な節約は避けましょう。

インプラントの素材の質が悪い

インプラント治療費が極端に安い場合、インプラント自体の素材の質が悪い可能性があるため注意が必要です。

インプラントを生産しているメーカーは数多くあるとお伝えしましたが、世界では100社以上、日本国内では30社以上が存在するといわれています。

一般的に流通しているインプラントのメーカーは、おおよそ決まっているのですが、利益を出すために安さを売りにする「格安インプラント」の流通も増えつつあります。

「高い=上質」とは断言できないものの、相場より安いインプラントには安全性や品質などの面でリスクを懸念したほうが良いでしょう。

悪質な歯科医院では、安さを売りにする代わりに日本国内で認可されていないインプラントを使用している可能性もあります。

アフタートラブルで対応してもらえなければ追加の治療費が高額になったり、対応してもらえても顎の骨を損傷するなどの問題につながります。

泣き寝入りにならないようにするため、埋め込んだインプラントによるトラブルを未然に防ぐためにも信頼できる歯科医院を利用するようにしましょう。


まとめ

インプラント治療は、外科手術になるため通常の歯科治療よりも高額かつ、保険適用外のため支払額も大きくなります。

経済的な理由で「インプラント治療を安く抑えたい」と考える方もいますが、専門性が高くリスクを伴う手術のため、格安インプラントを利用するにはデメリットも伴う点に注意が必要です。

分割払いなどの工夫をすれば、月々の支払額を安く抑える方法はいくつもあるので、無理のない範囲でインプラント治療を検討しましょう。

監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
小嶋デンタルクリニック 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕


静岡市出身
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。

〔所属学会・所属団体〕


歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会)
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
静岡市歯科医師会 2020-2022 理事
静岡市介護認定審査委員