ブログ
40代で親知らず抜歯は危険?年齢別の治療について&若いうちの方がいいと言われる理由
2024/05/22
親知らずの抜歯にあたって「40代や50代で親知らずの抜歯はできる?」「親知らずの抜歯は若いうちがいいって本当?」など不安をお持ちの方は多いようです。
一般的に親知らずの抜歯は若いうちがいいといわれるものの、年齢制限はなく、40代はもちろん何歳でも抜歯は可能です。
この記事では、40代で親知らずの抜歯は危険なのかどうか、若いうちに親知らずを抜いた方がいいといわれる理由、年齢別の親知らず抜歯などについて詳しく解説します。
親知らずはすべて抜いた方がいいわけではなく、中には残しておいた方がいいケースもあります。親知らずの抜歯に不安がある方、抜歯すべきか考えている方はぜひ記事を参考にしてみてください。
40代で親知らずの抜歯は危険?
「親知らずは若いうちに抜いた方がいい」と聞いて、40代で親知らずを抜いて大丈夫だろうかと不安を感じている方もいるでしょう。
結論からお伝えすると、40代でも親知らずの抜歯は問題なく行えます。
ただし、抜歯した方がいい親知らずかどうかは患者さんでは判断が難しいため、一度歯科医院を受診して相談してみるのがおすすめです。
若いうちの方がいいが何歳でも抜歯は可能
他の永久歯は15歳前後で生え揃いますが、親知らずは通常は17~22歳頃に生えてくることが多く、そのくらいの年齢で抜歯をする方も多いです。
詳しい理由は後述しますが、年齢を重ねると骨の癒着、加齢による持病、虫歯・歯周病リスクなどが生じるため、親知らずの抜歯は若いうちの方がいいといわれています。
しかし、親知らずの抜歯自体に年齢制限はなく、何歳でも可能です。
虫歯や歯周病で状態の悪くなった親知らずを放置すると、悪化して激痛が生じたり、治療が大変になったりします。気になる親知らずは放置しないことが大切です。
30〜40代で親知らずが生えてくるケースもある
親知らずは20歳を超えてから生えてくることも多く、まれですが30〜40代になって親知らずが生えてくるケースもあります。
一番奥まった部分にある親知らずは歯ブラシが届きにくいため磨き残しが生じやすく、斜めに生えてくることもあるため虫歯になりやすい歯です。
虫歯を予防するためにも丁寧なブラッシングを心掛けつつ、歯科医院で抜歯した方がいいかどうか、アドバイスをもらうといいでしょう。
親知らずは若いうちに抜いた方がいいといわれる理由
年齢を重ねても抜歯は可能ではあるものの、「親知らずは若いうちに抜いた方がいい」といわれるのは、以下のような理由からです。
- 曲がって生えていると虫歯・歯周病リスクが高まる
- 骨の癒着が起きて抜歯が大掛かりになる
- 腫れや痛みが長引きやすい
- 年齢を重ねるにつれ抜歯後の回復が遅くなる
- 持病による全身リスクが上がる
ここからは、それぞれの理由について詳しく解説します。
曲がって生えていると虫歯・歯周病リスクが高まる
親知らずは、生えてくるスペースが足りないことで斜めに生えてくることが多くあります。
他の歯と同じように真っ直ぐ生えず斜めや横向きに生えていると、親知らずとその隣の歯との間に深い歯周ポケットができ歯茎の腫れや出血、口臭の原因になります。
歯周ポケットとは歯と歯茎の境目の溝のことで、深くなると汚れが溜まりやすくなり、歯周病や虫歯のリスクを高めます。
歯周病は日本人の歯を失う原因の第1位となっており、治療せず悪化すれば最悪の場合、歯を抜かなければならなくなってしまうこともあるため注意が必要です。
骨の癒着が起きて抜歯が大掛かりになる
年齢を重ねると骨の癒着が起きて抜歯が大変になるケースがあることも、親知らずは若いうちに抜いた方がいいといわれる理由の一つです。
20代前半くらいの若いうちであれば、まだ歯が柔らかく根の癒着が進んでいないため比較的抜歯はしやすくなります。
しかし、年齢を重ねると歯が骨と癒着することがあり、この場合は抜歯の際に骨をたくさん削る必要が出てくるなど抜歯が大変になる傾向にあります。
腫れや痛みが長引きやすい
年齢を重ねてからの抜歯の場合、腫れや痛みが長引きやすい傾向にあります。
30代を過ぎると骨や歯が固くなり、親知らずの歯の根もしっかり出来上がって抜歯に時間がかかるためです。
親知らずの歯の根が大きくなったり曲がったりしていると長く時間がかかってしまう可能性があるでしょう。
年齢を重ねるにつれ抜歯後の回復が遅くなる
抜歯後の回復が早いことも、若いうちの方がいいといわれる理由の一つです。
年齢を重ねるにつれて傷の治りが遅くなるため、回復力の高い若い年代での抜歯が推奨されています。
気になる親知らずがある場合は、早めに歯科医院に相談してみましょう。
持病による全身リスクが上がる
年齢を重ねるにつれ、さまざまな病気のリスクが高まります。持病があると、抜歯に伴う全身リスクが高まる点にも注意が必要です。
例えば、50歳を過ぎると高血圧・糖尿病・心臓病といった全身疾患にかかる割合が増加しますが、このような持病があると血が止まりにくくなったり、感染リスクが高くなったりします。
また、抜歯前に主治医による全身の状態のチェックや服用中の薬の確認が必要となり、骨粗鬆症のお薬を飲んでいる場合などすぐに抜歯ができないケースもあります。
年齢別│親知らず抜歯について
ここからは、年齢別の親知らずの抜歯について見ていきましょう。
10代
親知らずが生えてくるのは一般的に17~22歳頃ですが、6歳頃には骨の中に親知らずがつくられ始めます。
まだ生えてきていないため通常であれば抜歯は検討しませんが、歯列矯正を行っている場合は切開して抜歯するケースもあります。
まだ歯が出来上がっておらず小さな状態のため、この時期の抜歯は腫れや痛みが少ないことが特徴です。
20代
20代は、親知らずの抜歯に適したタイミングといわれる年代です。
このくらいの年齢であればまだ歯が柔らかく抜歯しやすいことに加え、若いうちは回復力が高く、体力もあります。
また、抜歯後は抜いた部分にくぼみができますが、20代で抜歯をするとこのくぼみが骨や歯肉できれいに埋まる可能性が高いです。
30代
30代頃であれば20代と比較しても回復力に大きな差は出ないと考えられるため、親知らず抜歯を考えている場合は早めに歯科医院を受診しましょう。
女性の場合、30代は妊娠や出産を経験される方も多い年代ですが、妊娠すると抗生物質や痛み止めを服用できないなど薬に制限が出てくるため、注意が必要です。
40代
40代以降の親知らずの抜歯の場合、骨との癒着が起きて抜歯が難しくなることがあります。
しかし、かといって抜かないまま放置すると虫歯や歯周病のリスクが高まり、口臭につながることもあります。
親知らずに痛みがない場合でも、早めに歯科医院に相談してみるのがおすすめです。
50代・60代以降
50代や60代以降は、虫歯や歯周病にかかっている方が多くなるのに加え、全身疾患がある可能性も高くなる年代です。
例えば、骨が脆くなる骨粗鬆症の薬を飲んでいる場合、抜歯のために一時的に服薬を止めて数ヶ月待たなくてはいけないこともあります。
特に女性の場合、閉経を迎えて女性ホルモンの分泌量が減少すると骨粗鬆症にかかりやすくなるため、可能な限り早めの抜歯を検討しましょう。
親知らずを抜くタイミングは炎症が出る前
「親知らずが痛い、腫れている」など、親知らずが炎症を起こしてから歯科医院を受診する方も多いですが、親知らずの抜歯は炎症が起こる前に行うことが大切です。
痛みや腫れは炎症によって起こりますが、炎症が強いと麻酔が効きにくくなります。
そのため炎症を起こしている間は抜歯ができず、まずは抗生物質などで炎症を抑えてから抜歯をしなければなりません。
炎症がなく麻酔がしっかり効く状態で抜歯をした方が患者さんの心身の負担を抑えられるため、痛くなる前に早めに抜歯をしましょう。
早めに抜いた方がいい親知らず
親知らずはすべて抜かなければいけないわけではありませんが、中には早めに抜いた方がいいと考えられるケースもあります。
以下のような親知らずは、早めの抜歯を検討しましょう。
- 虫歯や歯周病になっている
- 横向きや斜めになって生えている
- 噛み合う歯がなく噛むのが難しい
- 痛みや腫れが出たことがある
- 腫瘍や嚢胞の原因になっている
ここからは、それぞれのケースについて詳しく解説します。
なお、早めに抜いた方がいい親知らずについては以下の記事でも解説していますのでよろしければ合わせてご覧ください。
虫歯や歯周病になっている
親知らずが虫歯や歯周病になっている場合、なるべく早めに抜歯を検討しましょう。
抜歯せずに放置すると、親知らずだけでなく隣り合う歯にまで虫歯や歯周病に侵されてしまう可能性があります。
他の歯であれば虫歯や歯周病を治療しますが、親知らずは磨き残しが起こりやすく一度悪くなると再発する可能性が高いため、抜歯が選択されるケースが多いです。
痛みや腫れが出ていなくても気付かないうちに虫歯や歯周病が進行している可能性があるため、歯科医院を受診しお口の健康をチェックしてもらいましょう。
横向きや斜めになって生えている
親知らずが横向きや斜めになって生えている場合も、抜歯をおすすめします。
親知らずが正常に生えていないと磨き残しが多くなり、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。また、歯並びやかみ合わせに悪影響を及ぼし、顎関節症の原因になる場合もあります。
自分で鏡で見ただけでは確認が難しいため、歯科医院でレントゲン検査などを受けましょう。
噛み合う歯がなく噛むのが難しい
生えている親知らずと噛み合う歯がない場合も、抜歯がおすすめです。
親知らずが上下どちらかしか生えていないとしっかり噛めず、歯茎を傷つけてしまいます。
また、すでに生えている親知らずが伸びてきて、頬の粘膜を噛みやすくなってしまうこともあります。
痛みや腫れが出たことがある
これまでに親知らずに痛みや腫れが出たことがある場合も、早めに抜いた方がいいでしょう。
基本的に、虫歯は自然に治ることはありません。そのため、一度痛みが治まったとしても虫歯は進行しており、再度痛みや腫れが再発する可能性が高いです。
放置すると知らないうちにどんどん悪化してしまう可能性があるため、早めに抜歯をしましょう。
腫瘍や嚢胞の原因になっている
親知らずが原因となり、腫瘍や嚢胞ができることがあります。
放置すると痛みや腫れが起こったり、顎の骨を溶かしてしまうこともあります。トラブルを防ぐためにも、このような親知らずは放置せず抜歯を検討しましょう。
抜かずに残した方がいい親知らず
以下のような親知らずは抜かずに残しておくといいでしょう。
- 虫歯や歯周病になっていない親知らず
- 真っ直ぐ正常に生えている親知らず
- 上下の歯がしっかり噛み合っている親知らず
- 汚れが溜まりにくい親知らず
上記のような親知らずは、歯の移植やブリッジの土台にするなど、将来の治療に活用できる可能性があります。汚れが残らないよう丁寧に磨いて、虫歯や歯周病にならないようにしましょう。
40代以降も親知らず抜歯は可能!放置せず痛む前に歯科医院へ
親知らずの抜歯に年齢制限はなく、40代以降も抜歯可能です。
親知らずに炎症が起きて痛みが出ると、麻酔が効きにくくなり、すぐに治療ができなくなってしまいます。
少しでも痛みや負担を抑えて抜歯するためにも、痛みが出る前に一度歯科医に相談し、親知らずの抜歯の必要があるかどうか確認してみましょう。
まとめ
親知らずの抜歯は若い方がいいといわれるのは、年齢を重ねると骨の癒着が起きて抜歯が大掛かりになる、抜歯後の回復が遅くなる、持病による全身リスクが上がるといった理由からです。
親知らずの抜歯自体には年齢制限はないため、年齢が理由で抜歯を躊躇っている方は一度歯科医院に相談してみましょう。
小嶋デンタルクリニックでは、他の歯科医院で難しいと言われた親知らずの抜歯の相談も受け付けております。
CT設備を完備し、的確な診査診断を行った上でリスクや侵襲を抑えた抜歯を心掛けておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。