ブログ
銀歯は金属アレルギーの原因になる?起こる症状や治療法を紹介
2024/04/24
虫歯治療で良く用いられる銀歯ですが、金属アレルギーの原因となることがあります。
銀歯による金属アレルギーの症状には口腔内で起こる炎症だけでなく、炎症性皮膚炎や掌蹠膿疱症、頭痛、肩こりなどもあります。
また金属アレルギーは銀歯を入れてすぐに発症するわけでなく、数年単位で時間が経過してから発症するケースが多いため注意が必要です。
この記事では、銀歯による金属アレルギーの症状や治療方法について解説します。
金属アレルギーの検査方法や金属アレルギーを起こしにくい金属などについてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
銀歯が原因で金属アレルギーになることがある

銀歯が原因で金属アレルギーになることがあります。
銀歯によって起きる金属アレルギーの症状は、周りの歯茎がただれたり口内炎ができたり、下にピリピリとした痛みを感じたりすることなどが挙げられます。
また、銀歯周辺だけでなく、口角が腫れたり味覚に異常を生じたりすることもあり、症状はさまざまです。
重度になると全身の皮膚にアトピー性皮膚炎のような症状が出たり、手のひらや足の裏に水ぶくれができる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)を引き起こすこともあります。
ここでは金属アレルギーが起こるメカニズムについて見てみましょう。
金属アレルギーが起こるメカニズム
唾液が銀歯に触れると、金属の成分が溶け出して金属イオンが発生します。
金属イオンが体内のたんぱく質と結合することでアレルギーを引き起こす原因となるアレルゲンとなり、体内にこれが蓄積されると金属アレルギーが起こるのです。
銀歯は常に唾液と触れているため、金属イオンが発生しやすい環境が作られます。
また金属アレルギーはアレルゲンが蓄積されてから発症するため、銀歯を入れてすぐに発症することは少なく、5年ほどの長い年月をかけた後に発症するケースが多いです。
銀歯による金属アレルギーは気づかない人が多い
銀歯による金属アレルギーは気づかない人が多いです。
一般的な金属アレルギーよりも症状が分かりづらく、症状が出るまでに時間がかかる事があるためです。
例えば数年前に入れた銀歯が原因で突然、金属アレルギーの症状が出る場合があります。
口内の異常はもちろんですが、突然原因不明の湿疹などの症状が現れた場合は、銀歯による金属アレルギーを疑ってみるとよいでしょう。
銀歯によって起こる事がある症状

銀歯が原因で起こることがある症状は以下の通りです。
- 口腔内に起こる症状(炎症・ただれ・口内炎・味覚異常など)
- 皮膚に起こる症状(掌蹠膿疱症・アトピー性皮膚炎など)
- 全身に起こる症状(頭痛・肩こりなど)
ここでは上記の症状について詳しく解説します。
口腔内に起こる症状(炎症・ただれ・口内炎・味覚異常など)
銀歯によって金属アレルギーを発症すると、口腔内に次のような症状が起こることがあります。
- 炎症
- ただれ
- 口内炎
- 味覚異常 など
口の粘膜が荒れたり舌にまだら模様が現れたりする場合もあり、舌の表面にある味蕾という器官に異常が生じる味覚異常が起きると、食べ物の味が分からなくなることもあります。
皮膚に起こる症状(掌蹠膿疱症・アトピー性皮膚炎など)
皮膚に起こる症状には次のようなものがあります。
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
- アトピー性皮膚炎
- 湿疹
- 口腔扁平苔癬 など
口内で金属イオンが発生して体内に取り込まれ、たんぱく質と結合すると、それがアレルゲンとなって皮膚に上記のような症状が現れることがあります。
皮膚科を受診してもなかなか症状が改善されない場合は、銀歯による金属アレルギーを疑った方がよいでしょう。
全身に起こる症状(頭痛・肩こりなど)
銀歯によって全身に起こることがある症状は次の通りです。
- 頭痛
- 肩こり など
保険治療で使用される銀歯のうち、水銀や銀、スズなどの重金属は神経毒性が強いため、頭痛や肩こり、不眠、めまいなどの症状を引き起こすことがあります。
金属アレルギーを起こしやすい金属

歯科治療で使用される金属は複数種類ありますが、そのなかでも金属アレルギーを起こしやすい金属がいくつか存在します。
- 12%金銀パラジウム合金
- 銀合金
- アマルガム
ここでは上記3つの金属の特徴についてそれぞれ見てみましょう。
12%金銀パラジウム合金
12%金銀パラジウム合金は保険治療で用いられる金属で、虫歯治療の詰め物や被せ物の「銀歯」として使用されるケースが一般的です。
金12%、銀46%、パラジウム20%、銅20%、その他銅・スズ・亜鉛少量が含まれた素材で、入れ歯のクラスプや歯列矯正の装置にも使われています。
12%金銀パラジウム合金は人体への影響が問題視されている素材でもあり、「銅を含有するパラジウム合金は使用しないこと」と勧告している国もあるほどです。
特にパラジウムを含む合金は口腔内で金属イオンが発生しやすく、アレルギー発症のリスクも高くなります。
銀合金
銀合金は乳歯の詰め物や永久歯の被せ物の土台として用いられ、銀70%前後、その他亜鉛やスズなどの金属が含まれた素材です。
強度や耐久性に優れている特徴がありますが、その強度故に土台に使用した歯の根にダメージを与えることがあります。
アマルガム
アマルガムは昔から歯科治療でよく使われている素材で、銅・スズ・亜鉛などの粉末に水銀を混ぜると硬化する性質が利用されています。
水銀は体内に吸収されやすく分解されにくい性質を持つため、体内に蓄積されやすく、金属アレルギーを発症しやすいです。
アマルガムは水銀を含むことから現在ではほとんど使用されていませんが、中高年の患者さまの口腔内ではよく見られます。
金属アレルギーを起こしにくい金属

金属アレルギーを起こしにくい金属は以下の通りです。
- 金
- 銀
- プラチナ
- チタン
上記の素材を使用したからといって金属アレルギーのリスクが0になるわけではありませんが、12%金銀パラジウム合金や銀合金といった金属よりはアレルギー発症のリスクが低減されます。
金属アレルギーの検査方法

銀歯による金属アレルギーは自分でも気づきにくいですが、金属アレルギー検査を受けることで、自分が金属アレルギーを持っているか、どの金属を避けたほうがよいか判断できます。
金属アレルギーの検査方法は以下の2つです。
- 金属パッチテスト
- 金属成分分析検査
ここでは上記2つの検査方法についてそれぞれ解説します。
金属パッチテスト
金属パッチテストは、金属アレルギーの検査方法として一般的な方法です。
皮膚表面に金属を含んだ試薬をテープで貼り付け、数日後にテープを剥がして、アレルギー反応を見ます。
金属パッチテストで検査できる金属の種類は以下の通りです。
- アルミニウム
- コバルト
- スズ
- 鉄
- 白金(プラチナ)
- パラジウム
- マンガン
- インジウム
- イリジウム
- 銀
- クロム
- ニッケル
- 亜鉛
- 金
- 銅
- 水銀
金属パッチテストを受けることで、どの金属でアレルギーを引き起こすのか、接触するとどの程度の症状が出るのかを確認することが可能です。
金属成分分析検査
金属成分分析調査は、口腔内の詰め物にアレルギーの原因となる金属が含まれているかを確認するための検査です。
金属製の詰め物を削って金属片を採取し、金属片に含まれる成分元素と含有量を検査します。
パッチテストでアレルゲン金属を特定した後、金属成分分析検査で口腔内にアレルゲン金属が存在するかを確認するといった流れで検査を行います。
銀歯を除去する必要はなく、ごく少量削るのみであるため、痛みや負担なく検査可能です。
歯科での金属アレルギーの治療・予防法

歯科での金属アレルギーの治療・予防方法は4つあります。
- コンポジットレジン(プラスチック)
- セラミック
- e-max
- ジルコニア
ここでは上記4つの治療方法についてそれぞれ詳しく解説します。
コンポジットレジン(プラスチック)
コンポジットレジンは白い歯科用プラスチックで、虫歯の治療に使用されるケースが多い方法です。
金属を使わないため金属アレルギーを発症する心配がないのはもちろん、保険適用されるため費用をおさえて治療できます。
また歯を削る量も比較的少なく、健康的な歯を残しやすいのも大きな特徴です。
ただし、強度や耐久性が低いため欠けや割れが起こることがあり、経年劣化による変色も起こりやすいというデメリットもあります。
セラミック
金属アレルギーを予防するなら、金属を使用しないセラミック治療がおすすめです。
セラミック治療には以下のように複数の種類があります。
- オールセラミック
- ジルコニアセラミック
- ハイブリッドセラミック
セラミックは強度や耐久性は天然歯と同程度で、審美性に優れている特徴があります。
銀歯は見た目の問題でコンプレックスを抱く方もいますが、天然歯と見劣りしない見た目のセラミックなら、美しい見た目の歯を手に入れることが可能です。
金属アレルギーを予防しながら審美性を重視したい場合は、セラミックを候補に入れてみるとよいでしょう。
e-max
e-maxはニケイ酸リチウムガラスセラミックを主成分とした詰め物です。
汚れが付きにくいため虫歯や歯周病になりにくいメリットがあり、金属を使用しないため金属アレルギーの心配もありません。
セラミックは強度の低さが弱点とされますが、ニケイ酸リチウムガラスセラミックは従来のセラミックよりも強度が高く、審美性・透明感・強度の3つの特徴をあわせ持ちます。
強度と審美性のどちらも重視したい場合におすすめの治療方法です。
ジルコニア
ジルコニアは、別名人工ダイヤモンドとも呼ばれる高い強度の素材を使用した詰め物です。
強い力が加わる奥歯の詰め物や被せ物にも使用できるメリットがあります。
色が単調で審美性はセラミックに劣りますが、強度や耐久性が重視される奥歯の治療などに適した素材です。
銀歯をセラミックにするメリット

銀歯をセラミックにするメリットは4つ挙げられます。
- 金属アレルギーの心配がない
- メタルタトゥー(歯茎の変色)が起こらない
- 汚れがつきにくく虫歯になりにくい
- 天然の歯のような美しい見た目に仕上がる
ここでは上記4つのメリットについて解説します。
金属アレルギーの心配がない
銀歯をセラミックにすることで、金属アレルギーの心配がなくなります。
セラミックは金属が含まれないため、金属アレルギーを持つ方でも治療を受けられるのはもちろん、金属アレルギーをこれから発症するリスクもありません。
ただしセラミックの中でもメタルボンドという種類には金属が使用されているため、治療計画を立てる際は注意しましょう。
メタルタトゥー(歯茎の変色)が起こらない
セラミックにはメタルタトゥーが起こる心配がありません。
メタルタトゥーとは、金属の詰め物や被せ物が原因で歯茎が変色してしまう症状のことです。
唾液と銀歯の接触によって発生する金属イオンが、歯茎を変色させることで起こるものです。
セラミックには金属が含まれないため、メタルタトゥーを引き起こす原因となる金属イオンが発生しません。
汚れがつきにくく虫歯になりにくい
セラミックは汚れが付きにくく虫歯になりにくいメリットがあります。
セラミックの表面はツルツルしているため、虫歯の原因となるプラークが付着しにくいメリットがあるのです。
また天然歯とセラミックの接着部分もすき間ができにくいため、虫歯の再発リスクを低減できます。
天然の歯のような美しい見た目に仕上がる
セラミックは審美性に優れている素材のため、天然の歯のような美しい見た目に仕上がります。
治療する周辺の歯に近い色味で詰め物や被せ物を作成できるため、違和感ない仕上がりが期待できるのが大きなメリットです。
銀歯で見た目にコンプレックスを抱いている方は、セラミックを検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
銀歯が原因で起こる金属アレルギーについて解説しました。
銀歯による金属アレルギーは自分ではなかなか気づきにくく、銀歯を入れた数年〜数十年後に突然発症することもあります。
金属アレルギーの検査方法には金属パッチテストと金属成分分析検査の2種類あり、この2つの検査によって、金属アレルギーの原因となる金属と口腔内でアレルギーを引き起こしている金属の有無を特定することが可能です。
金属アレルギーが疑われる場合や、金属アレルギーを予防したい場合は、コンポジットレジンやセラミック、ジルコニアなどの金属を使わない治療方法を検討してみましょう。
小嶋デンタルクリニックでは、金属を使用せず見た目にも美しいセラミック治療を行っています。
審美性と強度を両立させた治療も可能なため、銀歯による金属アレルギーでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。