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セラミックとジルコニアの違いは?種類やメリット・デメリットを解説
2024/04/23
天然歯に近い見た目を持つセラミックと、人工ダイヤモンドといわれるほど高い強度を持つジルコニア。
セラミックとジルコニアには、色や見た目、強度、寿命、価格などの違いがあります。
この記事では、セラミックとジルコニアの違いについて詳しく解説します。
ジルコニアの種類やメリット・デメリットについてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
ジルコニアはセラミック治療で使われる素材の一つ

ジルコニアは、セラミック治療において使用される素材の一つです。
セラミック治療において重要なのは、見た目の自然さと機能性ですが、ジルコニアはこれらの要求を高いレベルで満たしてくれる素材なのです。
ここではセラミックとジルコニアについてそれぞれ解説します。
セラミックとは
セラミックは陶材やガラスに似た成分です。
歯科治療では、その美しい見た目と自然な透明感で、特に前歯の治療など審美性を重視する場面で選ばれることが多い素材です。
しかし、セラミックは金属に比べると割れやすいという特性があります。
このため、被せ物や詰め物などでも、歯の強度を維持しながら見た目も美しく仕上げられるよう、緻密な技術が求められます。
セラミックの種類には様々あり、中には二ケイ酸リチウムガラスを使用した耐久性を高めたもの(e-max)も存在しますが、主に審美性を重視する場面での使用が一般的です。
ジルコニアとは
ジルコニアはジルコニウムの酸化物で、非常に固く耐久性に優れているのが特徴です。
歯の詰め物や被せ物に使用される際も、噛んだ力によって破損するリスクを軽減できます。
ジルコニアはセラミックに比べて色の繊細さや細かい表現は難しいものの、その白さと強度から、見た目にそれほど影響がない場合や強度を特に求められる奥歯などでの使用に適しているでしょう。
近年では、セラミックの審美性とジルコニアの強度を兼ね備えたものも登場しており、患者さまのニーズに応じて選択しやすくなっています。
セラミックとジルコニアの違い

セラミックとジルコニアの違いは大きく4つあります。
- 色や見た目の違い
- 強度の違い
- 寿命の違い
- 価格の違い
ここでは上記4つの違いについて詳しく見てみましょう。
色や見た目の違い
セラミックとジルコニアは色や見た目に違いがあります。
ジルコニアは透明度が低く白い見た目をしていますが、ステイニングといわれる着色技術によって、天然の歯の色調に近づけることが可能です。
透明感に欠けることで白っぽく見える弱点がありますが、透過率50%のハイトランスというジルコニアも登場し、自然な見た目を再現できるようになりました。
セラミックは何十種類もある陶材の中から、患者さまの歯の色を参考に細かく盛り付けながら作っていくため、ジルコニアと比べて色・透明度・再現性に優れています。
天然歯の透明感が強い場合はジルコニアでは再現しきれない場合があるため、より自然な見た目を求める部分の治療にはセラミックがおすすめです。
強度の違い
天然歯の硬さが約400Mpaのところ、ジルコニアの強度は約1300Mpaとされ、天然歯の3倍以上の強度を持ちます。
天然歯より硬いため噛み合う歯を傷つけてしまうことがありましたが、最近では900Mpa程度の強度のジルコニアも登場し、歯に負担をかけるリスクを低減可能です。
一方でセラミックの強度は360〜410Mpa程度で、天然歯とほぼ同じ強度となっています。
ジルコニアと比べると強度は劣りますが、歯に対しては優しい材料といえるでしょう。
また患者さまによって噛み合わせや噛む力が異なるため、ジルコニアにするかセラミックにするか、重視するポイントに合わせて医師と相談して決めていくのがおすすめです。
寿命の違い
ジルコニアとセラミックの寿命は、それぞれの強度と深く関係しています。
天然歯とほぼ同じ強度を持つセラミックは、衝撃によって欠けたり割れたりしてしまうリスクがあります。
天然歯よりも高い強度を持つジルコニアも、破損するリスクが全くないわけではありません。
特に強度の高いジルコニアの場合、長期にわたって使用することにより、噛み合う歯や隣り合う歯が傷つくリスクがあります。
オールセラミックの場合は7年〜10年程度、ジルコニアの場合は10年〜15年程度が寿命の目安です。
しかし、どちらもしっかりメンテナンスをすれば一生持つとも言われており、寿命を延ばすためには日頃のメンテナンスが大切です。
ナイトガードを使用し、夜間の歯ぎしりや食いしばりなどから歯を守りましょう。
価格の違い
ジルコニアとセラミックの相場は以下の通りです。
材料 | 分類 | 相場価格 |
---|---|---|
セラミック | インレー | 33,000~70,000円 |
クラウン | 88,000~220,000円 | |
ジルコニア | インレー | 53,000~70,000円 |
クラウン | 55,000~120,000円 |
ジルコニアやセラミックを使った治療は自由診療となり、使用する材料や作成工程が異なるため、クリニックによってかかる費用が異なります。
ジルコニアの種類

ジルコニアには主に3つの種類があります。
- フルジルコニア
- フルジルコニアステイン
- ジルコニアセラミック
ここでは上記3つの種類についてそれぞれ解説します。
フルジルコニア
フルジルコニアはジルコニア素材のみで作成したものです。
全ての部分にジルコニアを使用しているため、強度と耐久性が高く、欠けたり割れたりするリスクを抑えられます。
金属を使用しないため、金属アレルギーを持つ方でも使用可能です。
オールセラミックと比較すると審美性はやや劣りますが、様々な治療方法に応用できます。
フルジルコニアステイン
フルジルコニアステインは、フルジルコニアに着色を施したものです。
周囲の歯と馴染みやすいように着色して自然な見た目に近づけられるため、フルジルコニアでは違和感が生じやすい前歯にも装着できます。
フルジルコニアステインには透過率50%のハイトランスという素材もあり、限りなく天然歯に近づけることが可能です。
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは、歯の土台に耐久性に優れたジルコニアを使用し、表面を審美性に優れたセラミックで覆うものです。
ジルコニアとセラミックそれぞれの長所をかけ合わせることにより、強度と審美性を両立しています。
ジルコニアセラミックは変色することがなく、長期間にわたって天然歯と同様の美しさと高い強度を維持可能です。
ジルコニアのメリット

ジルコニアのメリットは5つ挙げられます。
- 透明感のある美しい仕上がりになる
- 強度・耐久性が高く奥歯にも使用可能
- 幅広い治療で使用できる
- 虫歯の再発リスク・歯周病リスクを下げられる
- 金属を一切使わず生体親和性が高い
ここでは上記5つのメリットについてそれぞれ詳しく解説します。
透明感のある美しい仕上がりになる
ジルコニアの中でも、セラミックを被せたジルコニアセラミックは、透明感のある美しい仕上がりになるのが大きな特徴です。
土台となるジルコニア部分が白いため、光を通しながらも強い色の遮蔽効果をもち、本来の歯が虫歯などで変色している場合でも、透明感を損なわずに美しく見せられます。
また歯が持つ複雑な色も再現可能で、天然の歯よりも美しく見せられるため、見た目を重視する患者さまには特に適しています。
技術の進化により加工しやすくなった現在では、より細かいニーズにも応えることが可能です。
強度・耐久性が高く奥歯にも使用可能
ジルコニアは、その高い強度と耐久性で知られています。
通常のセラミックの数倍の強度を持ち、噛み合わせの際に大きな力がかかる奥歯にも使用できるほどです。
従来セラミックが割れてしまうリスクが心配された奥歯にも、ジルコニアならば安心して使用できます。
これにより、機能的にも審美的にも高い要求を満たすことが可能です。
幅広い治療で使用できる
ジルコニアの優れた特性は、その適用範囲の広さにも現れています。
ジルコニアはセラミックと比べると透明感が劣るため、主に奥歯に使用されていましたが、近年は強度と耐久性、そして美しい仕上がりを兼ね備えたジルコニアセラミックなどが登場しています。
そのため、強度が必要な奥歯のクラウンやブリッジから、審美性が強く求められる前歯の治療に至るまで、幅広い場面で活用されているのです。
またインプラントの上部構造としても問題なく使用できるため、多くの歯科医師が患者さまの様々なニーズに応えるためにジルコニアを選択しています。
虫歯の再発リスク・歯周病リスクを下げられる
ジルコニアを使用するメリットの一つとして、虫歯の再発リスクと歯周病リスクを下げられることが挙げられます。
ジルコニアは表面が滑らかで汚れがつきにくいため、プラークが付着しにくく、結果として虫歯や歯周病の原因となる細菌の増殖を抑制します。
またジルコニアは耐久性が高いため、しっかりとメンテナンスを行うことで長期間にわたって安定した治療効果を保ち続けることが可能です。
金属を一切使わず生体親和性が高い
ジルコニアは金属を一切使わず、生体親和性が極めて高いことも大きなメリットです。
金属アレルギーの心配がなく、人工関節材料にも使用されるほど身体との相性が良いため、治療後の身体への負担を抑えられます。
さらに、ジルコニアは天然の歯と非常に似た色と質感を持っているため、見た目の美しさも保ちつつ、自然な口腔環境を維持することが可能です。
ジルコニアのデメリット

ジルコニアのデメリットは4つ挙げられます。
- セラミックと比べると透明度が低い
- 研磨や調整が難しい
- 接着が難しく脱落リスクがある
- 保険が適用されず自費診療となる
ここでは上記4つのデメリットについてそれぞれ解説します。
セラミックと比べると透明度が低い
フルジルコニアは、セラミックと比べると透明度が低いデメリットがあります。
他の歯と並んだときに違和感が生じる場合があるため、前歯などの目立つ場所には適さない可能性が高いです。
強度を維持しながら自然な見た目に近づけたいのなら、フルジルコニアに着色を施すフルジルコニアステインや、審美性に優れたセラミックを上から被せるジルコニアセラミックを検討する必要があるでしょう。
研磨や調整が難しい
ジルコニアは強度が高い素材のため、研磨や調整が難しいデメリットがあります。
土台の歯が虫歯になってしまった場合、ジルコニアを外して治療する必要がありますが、取り外す際に割れたり隣接する歯を傷つけたりする恐れもあります。
また、噛み合わせ調整が上手くできていないと他の歯に負担をかけることになってしまいます。
歯科医師や歯科技工士の高い技術が求められるため、ジルコニアによる治療を受ける際は信頼できる歯科医師に依頼することが大切です。
接着が難しく脱落リスクがある
ジルコニアのデメリットとして、接着が難しく脱落リスクがある点が挙げられます。
ジルコニアと歯を接着する際、レジン系セメントと呼ばれるものを使用しますが、このセメントはジルコニアとはくっつきません。
形や内面処理を調整しながら接着させますが、外れてきてしまう場合があります。
しかし、近年は新しい接着システムが出てきており、当院でも導入しているため、従来よりは脱落リスクを低減できます。
保険が適用されず自費診療となる
ジルコニアは、保険が適用されない自費診療となります。
50,000〜120,000円ほどの費用をすべて自費で支払うことになるため、予算も踏まえたうえで検討する必要があるでしょう。
また自費診療はクリニックによって費用が異なるため、クリニックを選ぶ際はかかる費用も前もってチェックしておきましょう。
セラミックとジルコニアはどちらがいい?
セラミックとジルコニアはそれぞれ異なる特性を持っており、重視する要素によってどちらを選ぶべきか変わります。
ジルコニアはセラミックほど審美性は高くないものの、高い強度・耐久性を持っており、奥歯にも使用できるメリットがあります。
またセラミックはジルコニアほどの強度はありませんが、天然歯と見劣りしないレベルの高い審美性を持っているのが特徴です。
強度を重視する場合にはジルコニア、審美性を重視する場合にはセラミックを選ぶと良いでしょう。
強度と審美性どちらも重視したいなら、セラミックとジルコニアどちらの特性も持ち合わせたジルコニアセラミックや、セラミックの強度を高めたe-maxといった選択肢もあります。
お口の中の状態や治療部位によっても違いがあるため、一度歯科医師に相談してみるのがおすすめです。
まとめ
セラミックとジルコニアの違いについて解説しました。
セラミックとジルコニアは色や見た目、強度、寿命、価格などの違いがあります。
セラミックは天然歯に限りなく近い見た目の高い審美性を持っており、ジルコニアは天然歯の3倍近い強度を持っているのが特徴です。
審美性を重視するならセラミック、強度を重視するならジルコニアを選ぶと良いでしょう。
小嶋デンタルクリニックでは、患者さまに合わせたオーダーメイド治療を提案しています。
患者さまの歯の状態や要望に合わせて素材や治療方法を提案しているため、ぜひお気軽にご相談ください。