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前歯にできた虫歯の初期症状とは?対処方法や歯科院の治療
2023/10/25
前歯に濁りがあったり部分的な変色が見られたりなどの変化があったら、虫歯になっている可能性があります。
薄くて神経までが短い前歯は、虫歯の進行が早くて痛みを感じやすいです。
初期の虫歯であれば、適切な対処法で進行を食い止めて改善できますので安心してください。
本記事では、前歯が虫歯になった時の初期症状についてや対処法、歯科医院での治療について解説しています。
前歯にできる虫歯の初期症状
虫歯になると穴が空いてズキズキ痛んだり、水がしみたりする印象がありますが、初期には自覚症状がありません。
以下のような状態が前歯に見られたら、歯科医院で検診を受けましょう。
- 歯の表面が白くすんでいる
- 艶がなくなった
- 歯の表面が黒っぽく見える
- 小さな穴や隙間がある
歯科医院で検診を受けると、虫歯は進行を表す用語「CO」「C1」で表示されます。
COとは、歯の表面が白く濁っていたり艶がなかったりする虫歯の初期症状です。
進行して歯の表面が黒く変色して見えたり、穴が空いていたりするとC1になります。
COの場合は定期健診とセルフケアで経過観察で様子を見ることが多く、C1のチェックがあっても大きく削ることはありません。
前歯にできた虫歯の初期症状を放置すると進行するリスクが高まる
見た目は気にならない、初期なら歯磨きでなんとかできると考える方もいるでしょう。
虫歯は食事のカスを餌に細菌が増えるだけでなく、餌となる糖質の摂取量、体質が組み合わさることで起こります。
口の中には多くの菌がいますが、中でもミュータンス菌が増えてしまうのが問題です。
ミュータンス菌は砂糖などの糖質を餌にして、増殖した後、歯の表面に付着します。
この時に作られるグルカンという物質は、水に溶けにくい性質で粘着性があるため、うがいをしても落とせません。
グルカンを餌にして細菌が繁殖すると、プラーク(歯垢)に変化します。
プラークの中に含まれている糖をミュータンス菌が分解し、作り出した酸で前歯のカルシウムが溶けると虫歯になります。
毎日歯磨きをしていても虫歯を防ぐことは難しいため、初期症状を見かけたら進行しないように対処してください。
前歯にできた虫歯の初期症状2つの改善点
初期虫歯は痛みがなく、進行してから気づきやすいです。
しかし、前歯の場合は変色やくすみなど目に見える症状が現れます。
虫歯だと思ったら、紹介する改善方法を試してみてください。
初期症状であれば、セルフケアで虫歯の進行を遅らせられるでしょう。
正しい歯磨き
歯磨きは予防歯科の1つでもあり、虫歯や歯周病の治療にもなります。
どちらも口の中に存在する細菌が原因で起きてしまう病気であり、感染してしまうと気づかないうちに進行します。
正しく丁寧に磨けば、虫歯になる可能性を抑えられます。
毎日正しい歯磨きを続ければ、虫歯になって治療を受けるのを避けられます。
食事をした後、口内のねばつきや歯の表面がべたべたするのも細菌が原因です。
粘着性のある細菌が固まるとプラークになり、歯と歯肉の境目や隙間にこびりついていきます。
このような汚れは、うがいや口ゆすぎでは落とせないため、歯ブラシを使ってこすり落とすしかありません。
プラークがある・発生しやすい場所をしっかり磨くことが大切です。
歯と歯の間
前歯同士の隙間は歯ブラシで磨きにくく、プラークが残りやすくなります。
歯間部は、歯ブラシで時間をかけ丁寧に磨いても完全に取り除くことはできません。
このような隙間は、歯間ブラシやデンタルフロスを使えば、プラークを取り除きやすくなります。
歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯間部を掃除すれば、プラークが落とせるだけでなく歯ブラシで汚れも落としやすくなります。
かきだすように歯ブラシを使うときは、目に見えない前歯の裏側もきれいにしてください。
虫歯の原因となるプラークを残さないことが重要です。
歯と歯肉の境目
歯と歯肉の境目にプラークが残ったままでいると、細菌が入り込み歯周病になりやすくなります。
境目はブラシを当てるのが難しく、力を入れすぎると歯肉を傷めてしまうため注意してください。
また、境目にはプラークが溜まりやすく、歯ブラシを斜めにしてゆっくりと前後に動かせば取り除きやすいです。
力を入れずに細かく動かすと、汚れがかきだされますので試してみてください。
噛み合わせ
奥歯の嚙み合わせ部分は、奥から手前に向かって順番に磨いていきます。
歯並びが悪く、上手く磨けない場合には、1本1本丁寧にブラッシングしましょう。
前歯の裏側は鏡を使っても見えませんが、舌で触るとざらつきがあるのがわかります。
ざらつきの正体はプラークで、磨くときは歯ブラシを鉛筆のように握り、余計な力が入らないようにしてください。
歯ブラシが縦になるように裏側に当て、かきだすように磨きましょう。
前歯は他の歯よりも大きいため、丁寧に磨くのがコツです。
生活バランスの見直し
生活習慣の乱れは自律神経のバランスを乱し、体に弊害を及ぼすため見直しが必要です。
例えば睡眠不足が続くとやる気や集中力が低下するだけでなく、食欲増進ホルモンが分泌されるようになります。
食事回数が増えて暴飲暴食を続ければ、口内に酸が発生しやすくなって虫歯になりやすいです。
糖質の多い食べ物を食べたり不規則な時間で食事をしたりしても、ストレスにつながって口内環境を悪化させます。
生活習慣を見直しすることにより睡眠不足が解消されれば、運動や食事について考える余裕が生まれるでしょう。
バランスの良い食事と健全な生活リズムを取り戻せば、免疫力がアップして脱灰の進行を遅らせられます。
健康な体になれば、歯の自然修復である再石灰化が正常に働き、初期の虫歯は改善されるでしょう。
飲食
口内は唾液によって粘膜に潤いが与えられ、虫歯になりにくいようにきれいに保たれています。
食事をすることで酸性に傾いていくと虫歯菌が増え、脱灰が起こります。
脱灰はプラークから酸が発生し歯を溶かしてしまう現象で、放置すると変色や穴が空くので注意が必要です。
唾液は、酸性に傾いた口内を中性に戻し、歯の表面を元の状態に戻す再石灰化を促進します。
再石灰化に必要な唾液の分泌量を上げるには、糖質を控えるだけでなく、食物繊維を摂取することが大切です。
食物繊維が豊富な食べ物は唾液の分泌量を高めて、口内が酸性に傾くのを予防します。
就寝中は中和する唾液が少なくなって細菌が活発に働いてしまうため、就寝前に歯磨きをするのがおすすめです。
なお、翌朝目が覚めたら朝食前に歯を磨く習慣をつけましょう。
虫歯菌を洗い流したら、唾液の分泌を促すためにも、朝食をしっかり食べてください。
前歯にできた虫歯の初期症状を自分で対処
前歯に虫歯の初期症状が出たら、歯科医院に行くべきか迷うことでしょう。
忙しくてすぐ歯科医院に行けない場合、自分で対処する方法でも虫歯の進行を遅らせられます。
ここからは、歯磨き剤を使ったケア方法や注意点について説明します。
フッ素配合の歯磨き剤を使用する
歯磨き剤はホワイトニングや知覚過敏など種類がありますが、フッ素配合がおすすめです。
予防のため歯磨き剤を使用し、プラークコントロールできる口内環境作りを始めましょう。
初期症状改善にはプラークに強い歯にするだけでなく、虫歯になりにくい食生活と正しいブラッシングをマスターすることが大切です。
歯磨きがうまくできておらず、歯の質が悪いと細菌の餌場になってしまいます。
汚れがつきにくく落としやすい前歯になれば正しいケアで虫歯を予防できるため、フッ素配合歯磨き剤を使用してください。
使用方法
食事後の歯磨きに、フッ素配合歯磨き剤でブラッシングすると、唾液に混ざって歯に付着していきます。
磨き終わったあと、何度もうがいをすると効果が薄れていくため、1回程度にとどめてください。
食事後に継続して使用すれば、フッ素効果が高くなります。
年齢別の使用量の目安
フッ素配合の歯磨き剤は、多く使えば効果が出るものではありません。
年齢によって歯の大きさも異なるため、正しい使用量を守ってください。
年齢別に、歯磨き剤の量とタイミングについて以下の表にまとめました。
年齢 | 歯磨き剤の量 | タイミング |
歯の萌出~2歳 | 切った爪程度(子ども用歯磨き剤) | 仕上げ磨きに使う |
3~5歳 | 耳かき程度(子ども用歯磨き剤) | 就寝前 |
6~14歳 | 1cm程度 | 就寝前 |
15歳以上~成人 | 1~2cm程度 | 就寝前 |
小さなお子さんは歯磨き剤を嫌がるケースもあるため、無理に使わないで正しいブラッシングをしてあげましょう。
使用する上での注意点
大人のフッ素配合歯磨き剤は、小学生以下のお子さんには使えません。
市販の歯磨き剤で適切なものがない場合、かかりつけの歯科医院でお子さん向け歯磨き剤を購入すると良いでしょう。
大人向けのフッ素配合歯磨き剤も取り扱いがあり、医師や看護師に詳細を訪ねてみてください。
うがいのやりすぎでフッ素が流れてしまうため、うがいは1回で終わらせ、歯磨き後は1時間から2時間は飲食しないようにしましょう。
就寝前の歯磨きでフッ素配合の歯磨き剤を使用するのが有効ですが、食事後にも積極的な使用が効果的です。
前歯にできた虫歯の初期症状を歯科医院で治療
前歯に虫歯の初期症状が見られたら、できるだけ早く歯科医院で治療を受けてください。
初期の虫歯を削る必要はありませんが、穴の空く手前の状態のため、早めの処置が必要です。
歯科医院では、状態を確認した後にプラークの除去とPMTC、フッ素塗布が行われます。
どのような治療が行われるのか、前歯に与える影響はどのようなものなのか見ていきましょう。
フッ素の塗布をしてもらう
フッ素塗布は子どもの虫歯予防のイメージがありますが、大人でも希望すればフッ素塗布を受けられます。
歯科医院で使用するフッ素は、医療従事者のみが扱える高濃度の薬剤で、効果が持続します。
生活習慣の乱れによって虫歯リスクが高くなる大人も、予防ケアとしてフッ素塗布は有効な方法です。
やわらかくて虫歯になりやすい子どもの歯でも、フッ素を取り入れることで歯質を強化できます。
大人になると歯の表面が硬くなって効果が出にくくなりますが、同じように定期的にフッ素を塗布すれば、以下のメリットがあります。
再石灰化を促進させる
酸で弱くなった歯は、自力での再石灰化が難しくなりますが、フッ素による強化が可能です。
食事をすると歯の表面には食べかすが残り、菌が餌として脱灰が始まりますが、唾液の分泌によって再石灰化されてしまいます。
前歯に虫歯が無い方の多くは唾液分泌が活発で、脱灰してもすぐに再石灰化されます。
生活習慣の乱れやストレスによって唾液の分泌が少なくなると、再石灰化がうまく働きません。
唾液中のミネラルによってフッ素が沈着すれば、再石灰化が促進され虫歯が自然に治っていきます。
虫歯の菌を抑制
虫歯菌は主に糖質を餌にして繁殖し、酸を作りだすと歯が溶けて薄くなり虫歯ができてしまいます。
虫歯菌の機能を失わせるには、歯の表面に糖質が付着しにくい状態にするのが効果的です。
フッ素で歯をコーティングすることによって、細菌が酸を作りにくい環境を作ります。
歯の強化
歯の表面にあるエナメル質は酸に弱いため、磨き残しがあると菌が増殖して虫歯になります。
その前にフッ素を塗布すると歯の表面に酸に強い結晶が作られ、歯質が強化されて虫歯のリスクを軽減できます。
酸に対して抵抗性のある前歯になれば、虫歯の進行を妨げて予防にもなるでしょう。
PMTC
PMTCは機械を使った歯のクリーニングを指しています。
フッ素配合歯磨き剤を使って歯磨きしたり、電動歯ブラシで隅々まで磨いたりなど、自分でできることは豊富にあります。
しかしながら、確実に食べかすを落としきることは難しく、プラーク(歯垢)の除去も完璧とはいかないでしょう。
虫歯がないと歯科医院には行かない方も多いようですが、予防することを考えて定期的な検診をするのも必要です。
検診を受けた後に機械を使ってプラーク(歯垢)を除去してもらえば、前歯がすっきりするでしょう。
PMTCは保険診療となるため、検診と同時に申し込みするようにしてください。
まとめ
前歯に虫歯の初期症状が見られたら、生活習慣を見直し正しい歯磨き方法でケアを行ってください。
早期発見は虫歯の進行を食い止め、健康な歯を取り戻すための一歩です。
歯科医院での治療は簡単なことが多く時間もかかりませんから、早めに受診し適切な処置を受けてください。
初期虫歯があるということは、口内に何らかの原因がある可能性が高いです。
小嶋デンタルクリニックでは、歯のクリーニングやフッ素塗布、丁寧なブラッシングの指導も行っています。
虫歯のない健康な歯を維持するためにも、気軽に相談してみてください。