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口腔内科と口腔外科の違いは?できることや扱う疾患を詳しく紹介!

2023/05/30

口腔関連の治療を専門とする口腔内科と口腔外科。

口腔関連と聞くと、一般的な歯科医をイメージする方もいるかもしれませんが、口腔内科と口腔外科はより幅広い症状に対応する診療科目です。

事故やスポーツでできた外傷や顎変形症などの外敵疾患であれば、口腔外科が担当することは容易に想像できますが、口腔内科がどのような治療をするか知らないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、口腔内科と口腔外科の違いとそれぞれの概要、受診すべきケースについて詳しく解説します。


口腔内科と口腔外科の違い

口腔内科と口腔外科、名前は似ていますが、それぞれ明確な違いがあります。

ここでは、口腔内科と口腔外科の違いやできることを紹介します。

口腔内科でできること

口腔内科では、口腔に関する疾患のほかに、全身疾患について診断を行い、外科的なアプローチをとることなく、口腔疾患の治療を行います。

口腔悪性腫瘍や外傷、味覚障害など、幅広い疾患に対応することが可能です。

対象が広いため、口腔外科を担当する医師は、口腔内で発生する多様な疾患についての知識と能力が求められます。

口腔外科でできること

口腔外科では、歯周病や齲蝕を除く顎口腔領域の外科的治療を中心に取り扱う診療科目です。

顎口腔機能を中心に考えていることから、ストレス障害や内科的措置まで幅広く対応しています。

外傷はもちろん、アレルギーや神経疾患、感染症など、多種多様な疾患を治療することができます。


口腔内科とは

ここでは、口腔内科の特徴と主に扱う疾患について解説します。

特徴

口腔内科の特徴としては、疾患に対して手術といった外科的なアプローチをとらないことが挙げられます。

口腔疾患の原因となり得る全身疾患の特定と治療を行うことが目的であり、患者さんの全身状態の診断と管理を行います。

身体の内側から健康にすることで、歯周病や虫歯などの口内トラブルを予防すると同時に、歯科治療の効果を高められると考えられています。

また、免疫力の向上と老化防止効果が見込めることから、全身の健康につながる可能性があります。

海外ではよく知られている診療科目ですが、日本では口腔内科を名乗る医療機関は少ないのが現状です。

口腔内科を専門としている歯科医も少ないため、口腔外科医が口腔内科を兼任している場合が多く見受けられます。

扱う主な疾患

口腔内科では、口腔疾患だけではなく、全身にまつわる疾患を取り扱っています。

主に取り扱っている疾患は以下の通りです。

  • 炎症:歯周組織の炎症、顎骨の炎症、顎骨周辺の炎症、口腔結核、口腔梅毒
  • 口腔粘膜疾患:白板症、色素沈着症、口腔ガンジダ症、単純ヘルペス、口唇炎
  • 唾液腺疾患:口腔乾燥症、唾液腺炎、唾石症、粘液嚢胞、唾液腺悪性腫瘍
  • 神経疾患:三叉神経痛、顔面神経麻痺、舌咽神経痛、非定型顔面痛
  • 口腔心身症:舌痛症、口腔乾燥症、口腔セネストパチー、咬合異常感症
  • 顎関節疾患:顎関節炎、顎関節症、顎関節強直症、顎関節腫瘍
  • 摂食嚥下障害
  • 味覚障害
  • 睡眠時無呼吸症候群 など

口腔内科を受診すべきケース

口腔疾患のなかには、全身疾患が原因で引き起こされている場合があり、外科的なアプローチだけでは治療しきれないことがあります。

ここでは、口腔内科を受診すべきケースを3つ紹介します。

歯の痛みや腫れなどの症状がある

歯の痛みや腫れなどがある場合は、口内炎や歯周病の可能性があります。

特に口内炎は、ストレスや栄養不足による免疫力低下が原因で発生する場合が多く、外科的な治療だけでは完治できないケースも少なくありません。

口腔内科であれば、全身疾患も視野に入れた診断を行うため、適切な治療が受けられる可能性があります。

しっかり身体を休ませ、口腔環境を清潔に保つことで改善する場合もあるため、セルフケアを意識することが重要です。

口臭や口内環境の悪化を感じる

口臭や口内環境の悪化は、歯周病や唾液の分泌量によって発生する場合があります。

特に唾液の分泌量は強いストレスを感じた場合やホルモンの変調時に見られる症状の一つであり、単純な口腔環境が原因とは限りません。

精神的に不安定な場合も同様の症状が見られる場合があり、適切な治療が必要です。

口腔内科は生活習慣病や精神疾患も含めた原因特定を行うため、根本的な治療につながる可能性があります。

セルフケアでも改善しない場合は、受診することをおすすめします。

定期健診や予防歯科を受けたい

虫歯や歯周病を発生してから治療するのではなく、未然に防ぐことを目的とした定期検診や予防歯科は口腔内科と相性が良いです。

口内の健康は口内環境が綺麗かどうかで決まるわけではなく、身体全体の状態が影響します。

神経疾患や味覚障害は、口内を見るだけでは原因を特定できない場合が多いです。

全身疾患を視野に入れて診断を行う口腔内科であれば、口内トラブルの原因となり得る疾患を見つけだすことができます。

口腔外科とは

ここでは、口腔内科の特徴と主に扱う疾患について解説します。

特徴

口腔外科は、口腔内の疾患や損傷箇所に対して手術といった外科的なアプローチを専門に行う診療科目です。

口腔内の疾患や異常に特化しており、歯周病の治療や抜歯、腫瘍の除去などが代表的です。

また、口腔内の損傷や外傷の治療にも対応しており、顎の骨折や外傷に対する手術を行えます。

口腔内の異常は全身疾患と関連する場合もあり、口腔内の感染や炎症が全身に広がるケースも少なくありません。

口腔外科は、こういった全身疾患と関連する場合にも治療することが可能です。

扱う主な疾患

口腔外科では、口腔内に関連する幅広い疾患に対応しています。

主に取り扱っている疾患は以下の通りです。

  • 歯・歯周疾患:歯の欠損症、埋伏歯、智歯周囲炎
  • 炎症:腫瘍、顎骨炎、歯性上顎洞炎
  • 顎・顔面の外傷:骨折、歯の外傷、軟組織の外傷、打撲、脱臼、破折
  • 良性腫瘍:歯原性腫瘍、非菌原性腫瘍、エナメル上皮腫、歯牙腫
  • 悪性腫瘍:口腔がん、悪性黒色腫、悪性リンパ腫
  • 先天異常:先天性歯、舌強直症、小帯異常
  • 口腔粘膜疾患:口腔乾燥症、ウィルス性疾患、手足口病、ヘルペス性口内炎
  • 唾液腺の疾患:唾液腺炎、唾石症、唾液腺腫瘍
  • 神経疾患:三叉神経痛、顔面神経麻痺
  • 顎関節の疾患:顎関節症、顎関節脱臼、顎関節強直症

口腔外科を受診すべきケース

口腔内の異常や損傷、外傷があった場合は口腔外科が最適です。ここでは、口腔外科を受診すべきケースを5つ紹介します。

インプラント治療をしたい

インプラント治療をしたいと考えているのであれば、口腔外科がおすすめです。インプラント治療とは、損傷した歯を置き換えるための治療法です。

人工的に作られた歯根を顎の骨に埋め込み、替わりとなる歯を取り付けることで、美しい見た目を再現するとともに、自然な噛み合わせを実現します。

また、インプラント治療は歯の欠損部分を補うことはもちろんですが、周囲の歯に与える負荷を軽減することも一つの特徴です。

安定感のある基盤を設置するため、咀嚼機能や嚙む力の改善が見込めます。

口腔外科であれば、あらゆる視点からインプラント治療が適切かどうか判断するため、安心して相談できるはずです。

口腔内部に腫瘍がある

口腔内部に腫瘍がある場合は、口腔外科によって摘出してもらう必要があります。

腫瘍の摘出方法は主に、摘出手術、放射線療法、化学療法の3つです。

腫瘍の大きさや位置によって異なりますが、摘出手術であれば完全に腫瘍を取り除ける可能性があります。

腫瘍が小さければ局所麻酔のみで対応できますが、大きな腫瘍の場合は一部の組織やリンパ節の切除が必要になることが予想されます。

一方で、放射線治療は高エネルギーの放射線を使用して腫瘍を治療する治療法です。

摘出手術後の腫瘍の可否によって追加で行われる場合があり、腫瘍細胞の進行抑制や残存細胞の除去に使用されます。

化学療法は、抗がん剤による治療であり、他の治療法と併用される場合が多いです。

がん細胞を攻撃し、進行を防ぐことが主な目的です。

顎骨に外傷を負った

顎骨に外傷を負った場合は、口腔外科による手術が必要です。治療方法は外傷の種類や重症度によって異なります。

口腔外科では、主に特殊なバンドや固定具を使用した保存的治療が行われることが多いです。

保存的治療のなかには、痛みや腫れの管理、口腔内の洗浄、ソフトフードの接種などが含まれています。

一方で、顎骨がズレている重度な骨折がある場合は、再配置手術が行われる場合があります。

再配置手術では、外傷部位の骨を正しい位置に戻すために、ワイヤーやスクリュー、特殊なプレートなどを使用して固定します。

また、場合によってはリンパ節が損傷していることもあり、リンパ節の修復が必要になるケースも珍しくありません。

リンパ節の修復は、リンパ節の損傷部位の切除やリンパ管の再建によって行われます。

顎関節症や口唇口蓋裂などの奇形を治したい

顎関節症や口唇口蓋裂などの奇形を治したい場合は、口腔外科による治療が必要です。

口腔外科による治療は主に、矯正治療と外科手術の2種類が用いられます。

顎関節症や口唇口蓋裂などの奇形や噛み合わせの異常を修正するため、矯正治療が使用される場合があります。

矯正治療は、歯の列を綺麗にしたり噛み合わせのバランスを改善する効果があり、奇形の矯正や顎関節の安定化に役立ちます。

一方で外科手術では、顎骨や顎関節の形状や位置を物理的に修正し、奇形の改善を図ります。

歯周病が進行して歯肉や骨が破壊されている

歯周病が進行して歯肉や骨が破壊されている場合は、口腔外科による手術が必要な場合があります。

症状の重症度によって、フラップ手術、骨移植、骨の再生といった治療方法が用いられます。

フラップ手術は、歯周ポケットへのアクセスを確保し、歯周組織の再形成を行うために歯肉を除去する手術です。

炎症や感染の除去に有効であり、骨の再生を促進します。

骨移植は、患者さん自身の骨または人工骨材料を使用して、破壊された骨を再生する手術です。骨の破損具合や歯の残存状況によってはインプラント治療も同時に行われます。

また、特殊な膜やバリア素材を使用することで、骨の再生ができる場合もあります。


まとめ

この記事では、口腔内科と口腔外科の違いやできること、それぞれの特徴や取り扱う疾患、受診すべきケースについて解説しました。

口腔内科と口腔外科は、ともに口腔内の疾患やトラブルに対する治療を専門としています。

口腔外科は主に疾患に対する外科的なアプローチを行うことが特徴であり、手術を中心として治療が多いです。

一方で、口腔内科は口腔内の疾患や異常はもちろんですが、その原因となるものや全身疾患を視野に入れて特定します。

疾患によっては単なる手術だけでは完治しない場合もあるため、原因となり得る生活習慣病や精神疾患などの病気の診断と治療が重要になります。

海外では一般的な口腔内科ですが、国内ではまだ普及していないのが現状です。

現在は口腔外科が口腔内科を兼任している場合が多く、専門とする医療期間は多くはありません。

小嶋デンタルクリニックでは、患者さんとの信頼関係を何よりも重視し、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療を提供しています。

豊富な実績とノウハウを基に、治療からアフターケアまで責任をもって対応します。

充実した医療設備を整えており、衛生管理も徹底して行っているため、安心して治療が受けられます。

治療を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。