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下がった歯茎は元通りに治る?7つの原因と3つの治療方法を紹介!

2023/05/30

歯茎の位置が下がり、歯根が露出している状態を歯肉退縮と呼びます。

これは、加齢や日頃の生活習慣などによって発生すると考えられており、誰にでも起こり得るものです。

歯茎が下がった状態を放置してしまっては、見た目が損なわれるだけではなく、口内トラブルに発展する可能性があります。

また、一度下がった歯茎は自然に治せるものではないため、早期発見・早期治療が重要になります。

歯肉退縮を耳にしたことがある方や既に悩んでいる方でも、その原因やリスクについては詳しく知らないという方が多いのではないでしょうか。

この記事では、歯肉退縮の概要や発生原因、治療方法や放置した場合のリスク、効果的な予防方法について詳しく解説します。


歯茎が下がる歯肉退縮とは

歯肉退縮とは、歯茎のボリュームが減少し歯茎の下にある組織がなくなることで、本来隠れているはずの歯根が露出する状態のことをいいます。

加齢によって発生する場合もありますが、20代や30代の方でもこの状態に陥る可能性があります。

また、初期段階では痛みを伴わない場合が多く、気付かずに放置してしまうケースも少なくありません。

歯根が露出することで、歯が通常より長く見え、歯と歯の間に隙間が生まれます。

見た目が損なわれることはもちろんですが、隙間ができることで汚れがたまりやすくなり、虫歯や歯周病の温床になることが予想されます。

歯肉退縮は自然に治るものではないため、放置すれば悪化する一方です。

手遅れになる前に、日頃から歯茎の状態の確認と適切な予防、万が一発生した際は早期治療が非常に重要です。


歯茎が下がる7つの原因

歯肉退縮は加齢が原因で発生する場合もありますが、生活習慣やケア方法によっても引き起こされます。

歯肉退縮を適切に予防していくためには、まずその原因を把握しておくことが大切です。

ここでは、歯茎が下がる原因を7つ紹介します。

歯周病

歯茎が下がる最も代表的な原因が、歯周病の進行です。

歯周病は主に細菌感染によって発生し、進行することで歯の支えになっている顎の骨が溶けていきます。顎の骨が溶けると同時に歯茎の位置も下がり、悪化することで歯根が露出するまでに至ります

日本人の8割以上が歯周病にかかっているといわれており、年齢を問わず、誰がかかっても不思議ではないといえるでしょう。

歯周病は決して他人事ではないため、日頃のケアと定期的な検診が重要です。

加齢

加齢により、歯茎の位置が下がる場合があります。歯や歯茎は他の身体の組織と同様に、長く使えば使うほど消耗していきます。

そのため、日頃のケアをしっかり行っていた場合でも、歳を重ねるごとに歯肉退縮は少なからず発生する可能性が高いです。

ケアを怠ったり歯肉退縮を放置した場合は、進行スピードが早まってしまうため、注意しなければなりません。

可能な限り進行スピードを抑え、歯茎の状態を長く健康に保つためには、セルフケアと定期的に歯科医に診てもらうことが大切です。

喫煙

タバコの煙にはニコチンや一酸化炭素が含まれており、血流の悪化や歯周病のリスクを高めます。

血流が悪化すれば、必要な酸素や栄養が適切に供給されないため、歯肉退縮の進行につながると考えられます。

また、タバコは細菌に対抗するための免疫機能を弱めるともいわれており、継続して喫煙することで、歯周病を進行させてしまう原因になります

タバコは、歯茎だけではなく、身体全体の慢性的な栄養不足や酸素不足を招くため、注意が必要です。

ブラッシングが強すぎる

日頃のケア方法が原因で、歯肉退縮を引き起こすケースは珍しくありません。

歯を磨く際のブラッシングが強すぎることが原因で、歯茎を傷めたり、消耗スピードを早める可能性があります

また、歯茎だけではなく、歯表面のエナメル質に傷をつけることにもなりかねないため、力加減には注意しなければなりません。

日頃から歯磨きをしっかり行うことは決して悪いことではありませんが、歯肉退縮を招く原因となっては意味がありません。

ブラッシングは、優しく丁寧に行うことが基本です。

噛み合わせが悪い

噛み合わせや歯並びが悪いことが原因で、歯肉退縮が発生する場合があります。嚙み合わせや歯並びの乱れは、特定の位置に負荷をかけるため、歯や歯茎が消耗します

継続的に負荷がかかった場合は炎症反応を起こすこともあり、歯茎が下がる原因の一つとなります。

八重歯のように歯が重なっている場合や列から外れている歯は、歯磨きの際に他の歯より力がかかりやすいと考えられます。

矯正治療

成人してから矯正治療を行うと、歯茎が下がってしまうケースが多くあります。

これは、乱れていた歯並びを整列させることで歯茎が引き締まり、歯茎の位置が変わることから発生すると考えられます

適切に器具の矯正力が働いている場合は、歯肉退縮が発生することはほとんどありません。

しかし、器具に何らかの不具合が生じ、不必要な力が歯と歯茎に加わることで歯肉退縮が発生します。

多くの場合、器具の調整を行うことで改善するため、違和感を感じた場合は歯科医に診てもらうことをおすすめします。

歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり・食いしばりは、歯と歯茎に過剰な力が加わるため、歯の割れや欠けだけではなく、歯茎の炎症の原因になります

特に就寝中は力のコントロールができないため、人によっては100kgを超える力が加わることも珍しくありません。

歯ぎしり・食いしばりは歯肉退縮のスピードを早めるため、適切な対策や治療が必要です。


下がった歯茎を治す2つの治療方法

ここでは、下がった歯茎を治療する2つの治療法を紹介します。

歯周組織再生療法

歯周組織再生療法とは、歯周病によって失われた骨や歯茎などの歯を支える組織を回復させる治療法です。

組織を回復させるための場所を確保し、そこに回復を促す薬剤を投与することで失われた組織を再生させます

歯周組織再生療法に保険の適用はなく、基本的に自由診療となりますが、従来であれば抜歯しなければならなかった重症の歯を保存できるメリットがあります。

ただし、この治療は誰でも受けられるわけではなく、一定の条件を満たしている方のみ施術が可能です。

また、治療にも時間がかかるため、歯周組織再生療法を希望する場合は専門医によるカウンセリングを受けてから検討することをおすすめします。

現在日本人の8割が歯周病にかかっているといわれているため、決して他人事ではありません。重症化させないためにも、日頃のケアとメンテナンスが必要不可欠です。

歯肉移植治療

歯肉移植治療はその名の通り、歯肉の一部を採取し、歯肉が足りてない部位に移植するという治療法です。

これまで歯肉退縮が発生した場合、歯根が露出した部分にコンポジットレジンを詰めて症状を改善させるのが一般的でした。

しかし、根本的な治療ではなく、あくまで一時的なものであることが一つの課題でした。

歯肉移植治療であれば、樹脂ではなく本物の歯肉を使うため、将来的に歯茎が下がりにくい環境を整えられます

また、歯肉移植治療は虫歯や歯周病の予防効果も期待でき、口内環境の改善につながります。

採取時や移植時の痛みはほとんどなく、傷口も1〜2週間ほど経過すれば綺麗な状態にもどるため、負担は最小限です。

ただし、この治療は保険適用にならないため費用面で注意しなければなりません。


下がった歯茎を放置する3つのリスク

歯茎が下がった状態を放置してしまった場合、さまざまなリスクが懸念されます。ここでは、下がった歯茎を放置するリスクを3つ紹介します。

見た目が悪くなる

歯茎が下がり歯根が露出してしまった場合は、見た目が悪くなります。

歯肉退縮が進行した場合は、歯が長く見えたり歯と歯の間に隙間ができたりと、全体的なまとまりや統一感が失われます。

歯と歯茎のバランスが乱れると老けて見えると感じる方が多いです

また、歯肉退縮は顎の骨の劣化を招くため、歯のぐらつきからはじまり、結果的に歯が抜けるということも珍しくありません。

虫歯になりやすい

歯肉退縮が進行した場合、歯と歯の間に隙間ができるため、虫歯になりやすくなります。虫歯の原因となる汚れや細菌は、歯と歯の間の隙間にたまりやすいです。

日頃からセルフケアに気をつかっていても見落とす可能性があり、放置してしまった場合、虫歯になるリスクがあります

また、歯根は本来歯茎に隠れている部位であるため、表面にエナメル質がありません。

エナメル質がなければ、外敵から身を守ることができないため、虫歯になりやすいと考えられます。

知覚過敏になる

歯茎が下がり、歯根が露出することで知覚過敏になりやすいといわれています。

知覚過敏は、冷たいものを食べたり歯ブラシが当たった際に発生する一過性の痛みのことです。酷い場合は、風が当たるだけで痛みが発生するケースもあり、油断できない症状といえます

歯根は本来歯茎に隠れている部分であるため、歯を外敵から守るためのエナメル質が備わっていません。

そのため、露出した部分が直接外部からの刺激を受けると神経が過敏に反応し、痛みを感じるという仕組みです。


歯茎を下げないための5つの予防方法

歯肉退縮は自然に治すことはできませんが、予防することはできます。

加齢によって避けられない場合もありますが、適切な予防を行うことで進行スピードを抑えることが可能です。

ここでは、歯茎を下げないための予防方法を5つ紹介します。

丁寧なブラッシング

前述したように、強いブラッシングは歯と歯茎にダメージを与え、歯肉退縮を早めてしまいます。

歯肉退縮を予防するためには、日頃から優しくて丁寧なブラッシングを心掛けることが大切です。ブラッシングの適切な力加減は、100〜200gといわれています。

また、歯ブラシは可能な限り柔らかいものを使用し、歯と歯茎の間を磨くイメージでブラッシングを行うことが重要です。

歯周病の予防・治療

歯茎が下がる主な原因は歯周病です。そのため、歯周病の予防と治療を適切に行っておくことで、歯肉退縮を予防できます

特に矯正治療を受けている方であれば、歯と器具の間のブラッシングが不十分になりやすいため、歯周病のリスクが高いです。

ブラッシングだけではなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、細かい部分まで意識してセルフケアを行うことが大切です。

定期的なメンテナンス

歯肉退縮を予防するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

セルフケアだけでは歯周病の予防や汚れの除去が不十分な場合があるため、定期的に歯科医で診てもらい、必要に応じて治療を受けることが大切です

また、矯正治療を受けている方であれば、定期的に器具の調整をしてもらうことで、歯肉退縮のリスクを減らせます。

歯肉退縮だけではなく、口内トラブルを予防したいのであれば、定期的に専門家に診てもらい、適切にメンテナンスを行うことが重要です。

禁煙

タバコの煙に含まれる一酸化炭素やニコチンは、歯肉退縮の原因の一つです。

喫煙することで、血中の酸素濃度が下がり、免疫力や回復力を大きく損なうため、細菌に対する対抗力が失われます

歯周病になりやすくなるだけではなく、進行も早めてしまうため、注意が必要です。禁煙することで、歯肉退縮だけではなく、全体的な口内トラブルを予防できます。

歯並びの矯正

歯並びや嚙み合わせが悪い場合、特定の歯と歯茎に過剰な負荷がかかるため、歯肉退縮の進行を早めます。

矯正治療を受けることで歯がきれいに整列されるため、歯と歯茎にかかる負担を軽減することが可能です

また、歯が矯正されることで、ブラッシングがしやすい環境になり、適切に虫歯や歯周病を行えるようになります。


まとめ

この記事では、歯肉退縮の概要や原因、治療方法や放置した場合のリスク、歯茎を下げないための予防方法について解説しました。

歯肉退縮は加齢によって引き起こされる場合があり、遅かれ早かれ発症する可能性があります。

また、歯並びや嚙み合わせによっても歯茎が下がる場合もあり、歯肉退縮を避けられないケースも珍しくありません。

放置した場合は見た目が悪くなっていくだけではなく、虫歯や知覚過敏になりやすくなり、最悪の場合は歯を失う結果になりかねません。

歯肉退縮は適切にセルフケアを行うことで発生の防止と進行の抑制ができます。

ただし、セルフケアだけでは不十分な場合もあるため、定期的に歯科医に診てもらい、適切な治療を受けることが大切です。

小嶋デンタルクリニックでは、患者さんのQOL(生活の質)の向上や健康で輝く笑顔を実現するため、患者一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療を提供しています。

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予防や治療を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。