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歯周ポケットとは?定義や原因・効果的な対策を徹底解説

2024/06/28

歯周ポケットは誰にでもあるものですが、ポケットの深さによっては歯周病や口臭、歯の喪失などのリスクがありす。

歯周ポケットが具体的にどれくらいの深さになれば異状が現れやすいのか、異状が現れた場合は自力で治せるのかなど、気になる点は数多くあるでしょう。

この記事では、歯周ポケットの深さと口腔内の健康の関係や、歯科医院での受診をおすすめする状態、予防法などについて詳しく紹介します。

すでに歯周ポケットが深い方も、これ以上深くしないためには、日頃のケアが何よりも大切です。ぜひ記事を参考に、適切なケアを始めてみてください。

歯周ポケットとは?

歯周ポケット

歯周ポケットとは歯茎と歯の間の溝であり、歯周病と深く関わっています。ここでは、歯周ポケットの定義や測定方法、歯周ポケットから分かることなどについて紹介します。

歯周ポケットの定義

歯周ポケットとは、歯茎と歯の間にある溝のことです。健康な歯茎にもあるものですが、歯周病の進行具合を確認する際の指標としても使われます。

歯周ポケットは「歯周病の進行度」と大きな関連があり、歯周病が進行するほど歯周ポケットは深くなります。

歯周病の早期発見や早期治療、進行した歯周病の効果的な治療のためには、歯周ポケットの観察が欠かせません。

歯周ポケットの測定方法

歯周ポケットの深さを測定するためには、歯科医院で専門的な検査が行われます。

検査では歯科医師が目盛りのついたポケット探針で歯と歯茎の間の深さを測定します。

ポケット探針は歯周ポケットの深さをミリメートル単位で測定できるため、歯周ポケットの深さを正確に測ることが可能です。

この測定結果をもとに、歯周病の進行度合いや治療の必要性が判断され、必要であれば治療計画が立てられます。

歯周ポケットの数値で何が分かる?

歯周ポケットの深さの数値は、歯周病の進行具合や治療効果を評価する上で重要な指標となります。数値による分類は以下の通りです。

健康な歯茎 0.5~2mm
歯肉炎 2~4mm
軽度の歯周病 3~5mm
中度の歯周病 4~7mm
重度の歯周病 6mm以上

歯周ポケットが深くなると、歯茎の炎症や出血、歯のぐらつきなどの症状が現れやすくなるため、早めの治療が必要です。

治療後も定期的な検査を受け、歯周ポケットの深さをチェックすることで、歯周病の再発に役立ちます。

歯周病は生活の質を低下させる症状が多く、進行すればするほど治療が長引き、患者さんの負担が増してしまいます。

定期検診などで分かる歯周病ポケットの測定値を意識しながら、日常的なケアで予防していきましょう。

歯周ポケットは早めの治療が必要

歯周ポケット

歯周ポケットが深くなると歯周病になるほか、口臭や歯の喪失などの可能性が高くなります。ここでは、歯周ポケットが早めの治療が必要な理由について紹介します。

歯周ポケットが深くなると歯周病になる

歯周ポケットが深くなると、その内部にプラーク(歯垢)が溜まりやすくなり、歯周病のリスクが増加します。歯周病になると歯茎や骨などに以下のような症状が現れる可能性が高くなります。

  • 歯茎の炎症
  • 歯茎の腫れ・出血・痛みが生じる
  • 炎症が進行すると歯を支える骨や組織が破壊される

プラークが歯周ポケット内に長時間留まることは、細菌が繁殖し、歯周病を起こす原因です。歯周ポケットを深くしてプラークを溜めないよう、口腔内のクリーニングや早期発見・早期治療を意識しましょう。

口臭が強くなる

深くなった歯周ポケット内にプラークや歯石が溜まり、それが腐敗して悪臭を放つようになります。また、歯周病の進行によって歯茎から出血や膿が出ることもあり、それらも口臭の原因です。

口臭は気にする方が多く、その対策も多数ありますが、歯周ポケットや歯周病の進行が原因である場合、歯周ポケットのクリーニングや歯周病の治療が最大の対策になります。

歯科医院で治療するとともに、自宅でできるセルフケアなども取り入れて口腔内の健康を維持し、歯周ポケットや歯周病、それにともなう口臭の改善を目指しましょう。

歯を失ってしまうこともある

歯周ポケットが深くなり、歯周病が進行すると、歯を支える骨や組織が破壊され、歯がグラグラと揺れるようになり、最悪の場合は歯を失うこともあります。

歯の喪失は見た目に大きな影響を与えるだけでなく、以下のように全身の健康や家計にも悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 食べ物を十分に噛めなくなる
  • 消化不良や栄養不足に繋がる
  • 失った歯の治療で経済的負担が増す

歯を失うデメリットは大きく、防げるものなら防ぎたいと考える方のほうが多いでしょう。

単純に「歯が少なくなる」という事態は、加齢や怪我などの防ぎきれない要因でも有り得ることですが、歯周病は日頃の検診やセルフケアで防げる病気です。

かかりつけの歯科医院を決めて定期検診へ通ったり、自宅でのセルフケアで効果的な方法を取り入れるなど、歯周ポケットが深くならないように気をつけていきましょう。

歯周ポケットはセルフで治せる?

歯周ポケット

歯周ポケットが深くなると、多くの場合は歯肉炎や歯周病がすでに起きているため、歯科医院での治療がおすすめです。しかし、中には通院が難しく、セルフケアで対応したいという方もいるでしょう。

ここでは、歯周ポケットはセルフで治せるかどうか、歯科医院へ行く際の判断基準などについて紹介します。

歯周ポケットの深さが3mm以下ならセルフケアもOK

歯周ポケットの深さが3mm以下であれば、セルフケアで改善する可能性があります。セルフケアとしては以下のような方法が取り入れやすく、かつ効果も期待できるためおすすめです。

  • 正しい歯磨き
  • デンタルフロス・歯間ブラシ・口腔洗浄機の使用

「毎日やっているのに」と思うかもしれませんが、歯磨きの方法やサポートグッズの使い方が適切でないと十分な効果が期待できず、かえって歯周ポケットが深くなってしまいかねません。

可能であれば一度歯科医院へ行き、歯磨き指導を受けてみてください。その際に口腔内をクリーニングしてプラークを除去しておくとさらにセルフケアの効果が高まります。

深さが4mm以上になったら歯科医院での治療が必要

歯周ポケットの深さが4mm以上になると、歯周病が進行している可能性が高くなるため、歯科医院での治療をおすすめします。

歯周病の進行は歯を支える骨や組織、口腔内環境に影響が及んでしまうケースがあるため、以下のような症状が見られる場合は要注意です。

  • 歯茎の腫れや出血
  • 歯がぐらつくようになった
  • 口臭がひどくなった

歯磨きの時や硬い食べ物を噛んだ際に歯茎から出血する場合、炎症が進行している証拠です。

また、前述の通り、 歯周ポケットが深くなると歯を支える骨が破壊され、歯がぐらつくようになることもあります。

さらに歯周ポケット内に溜まった細菌の繁殖や歯茎からの出血・膿が出るなどの症状により、口臭の悪化を自覚する方も多くなるでしょう。

いずれも歯周病の進行が高い確率で疑われる状態です。歯科医院で適切な治療を受ければ改善が期待できるため、心当たりのある方はぜひ受診を検討してみてください。

セルフケアOKの深さでも歯科医院がおすすめ

歯周ポケットの深さが3mm以下でセルフケアが可能な場合でも、定期的な歯科検診を受けたほうが多くのメリットを感じられます。

セルフケアだけでは見落としてしまうことが多い問題を早期に発見し、予防するためには、歯科医師や歯科衛生士のアドバイスとクリーニングが効果的です。

歯科医院での定期的な歯科検診は、以下のようなメリットがあります。

  • 歯科医師の検診で歯周ポケットの深さを把握
  • 口腔内の状況に応じたセルフケア方法の指導
  • 歯周病やむし歯など口腔内トラブルの早期発見・早期治療

細部のクリーニングやトラブルの早期対応など、セルフケアでは追いつけない部分のカバーが可能になります。

歯周ポケットが深くなる前に、セルフケアと専門的なケアを組み合わせて、健康な歯茎を保ちましょう。

歯科医院での治療方法

歯周ポケット

歯周病が進行した場合、歯科医院では進行度合いに応じてさまざまな治療方法を提案します。ここでは、歯科医院で行われている治療方法について紹介します。

歯周初期治療

歯周病の初期段階では、おもにプラークや歯石を除去するためのスケーリングとルートプレーニングが行われます。

スケーリング
歯の表面に付着した歯垢や歯石を取り除く
ルートプレーニング
歯根の表面を滑らかにして歯垢や歯石の再付着を防ぐ

状態によってはスケーリングでも十分な効果があり、ルートプレーニングを行わないケースもあります。

このほか、患者さんご自身が行うブラッシングやフロスなどのセルフケアについて、歯科医師や歯科衛生士から指導されることも初期治療の一環です。

初期治療の段階で炎症を抑え、歯周ポケットの深さを減少させながらセルフケアを取り入れれば、歯周病を効果的に予防できるでしょう。

デブライドメント

デブライドメントは、歯周ポケットやその周囲に蓄積されたプラークを取り除く治療方法です。

プラークを取り除く処置として前述のルートプレーニングもありますが、デブライドメントとは以下のような違いがあります。

デブライドメント
  • セメント質を傷つけない
  • プラークを取り除く
ルートプレーニング
  • 歯周病菌に汚染されたセメント質を除去
  • 歯根面をなめらかにする

デブライドメントは、セメント質がまだ歯周病菌に汚染されていない状態に用いられる治療です。セメント質が歯周病菌に汚染されている場合はルートプレーニングを提案する歯科医師が多いでしょう。

プラークは、歯に付着してから2〜3日で硬化して歯石に変わりますが、デブライドメントでは硬化前のプラークを除去するため、歯石を効率的に予防する効果が期待できます。

歯周外科治療(フラップ手術)

フラップ手術は歯周病が進行し、歯周ポケットが深くなっている場合に行われる外科的治療です。以下の手順で治療を進めます。

  • 歯茎を切開して歯根を露出させる
  • 徹底的にクリーニングする
  • 歯茎を縫合する

この手術により、歯周ポケットの深さを減少させ、再び健康な歯茎を取り戻せるようになるでしょう。

歯周病が進行し、スケーリングやデブライドメントでは効果的な治療が見込めない可能性のある患者さんにおすすめです。

歯周組織再生療法(エムドゲイン)

エムドゲインというお薬を歯周ポケット内に注入し、骨や歯根膜の再生を促進する治療法です。以下の効果が期待できます。

  • 失われた歯周組織の再生
  • 歯を支える骨の密度の上昇

エムドゲインを用いた治療は、歯の安定性が増す効果が高く、歯周病が進行した患者さんにとって有効な選択肢になります。

ただし保険外治療で全額自己負担になるため、治療費について計画を立てた上で選択することをおすすめします。

小嶋デンタルクリニックでは保険診療による治療方法のほか、こちらのエムドゲインにも対応しており、進行した歯周病にお悩みの患者さんのご相談が可能です。気になる方はぜひ一度ご連絡ください。

治療後にできる歯周ポケットの予防方法

歯周ポケット

歯科医院での治療が済んだとしても、歯周ポケットのお手入れや深くさせないための予防は大切です。ここでは、歯周ポケットを予防する方法について紹介します。

セルフケアを念入りに

歯周ポケットを深くせず、歯周病を予防するためには、治療後の日常的なセルフケアが非常に重要です。以下のことを心がけてみてください。

  • 正しいブラッシング方法を習得する
  • 歯間ブラシやフロスなどサポートアイテムの使用
  • マウスウォッシュも活用する

正しいブラッシングで歯と歯茎の境目を丁寧に磨き、歯垢や歯石が溜まらない環境を作ります。また、歯間ブラシやフロスも使い、歯と歯の間のプラークも取り除きましょう。

殺菌作用や抗炎症作用が期待できるマウスウォッシュの併用も、細菌の繁殖を抑えやすくなるためぜひ取り入れてみてください。

歯科医院での定期検診

定期的に歯科医院で検診を受け、歯周ポケットのケアや口腔内クリーニングをする習慣もおすすめです。

クリーニングによって自宅でのケアでは取り切れない歯垢や歯石をしっかりと除去できます。

歯科医師や歯科衛生士による口腔内のチェックで歯周ポケットの状態が分かり、歯周病の早期発見・早期治療が可能になるでしょう。正しいブラッシング指導を受けることも可能です。

また、クリーニングによって自宅でのケアでは取り切れない歯垢や歯石をしっかりと除去できるため、予防効果が高くなります。

小嶋デンタルクリニックでも皆様の定期検診をおすすめしています。口腔内クリーニングやブラッシング指導で健康的な歯茎や口腔内環境を守るサポートができれば幸いです。

まとめ

歯周ポケットは健康な歯茎にもあるものですが、深さが2mmを超えると歯肉炎や歯周病の恐れが高まります。3mm以上は歯周病が進行している状態であるため、早めの治療が必要です。

治療方法はさまざまですが、歯周病の進行度に適した方法があるため、歯科医院で相談してみてください。3mm以下の場合はセルフケアで治療できることもあります。

治療後のセルフケアも重要です。正しいブラッシングやサポートグッズの活用、歯科医院での定期検診など、歯周ポケットのケアや歯周病の予防に努めていきましょう。

小嶋デンタルクリニックでは歯周ポケットのケアや進行した歯周病の治療に力を入れ、保険診療による治療のほか、自費診療のエムドゲインなどに対応しています。

治療後に必要になるセルフケアや定期検診では、同じく力を入れている予防歯科の分野でもお役に立てるでしょう。歯周ポケットのケアや歯周病の治療などにお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。