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歯のセラミック治療は必要?メリット・デメリットと必要なケースを解説

2023/06/16

歯の治療に用いられる素材は、銀歯や歯科用プラスチックなどのいくつかの種類があります。

そのなかでもセラミックは、健康だけではなく審美目的でも用いられるなど、優れた素材です。

ただし、治療の際には注意が必要になるケースもあるため、事前にその詳細を把握しておきましょう。

この記事では、そのセラミックの素材や特徴に加えて注意点などをご紹介します。

治療を検討している方は参考にしてください。


歯のセラミック治療とは?

歯のセラミック治療とは、虫歯などで失った歯の一部分を、セラミック素材の詰め物や被せ者・差し歯を用いて補う治療方法のことです。

セラミックの特徴として、食器などに使われる陶器と同じ素材でできており、金属や歯科用プラスチックを用いた治療よりも、劣化しづらいことが挙げられます。

また天然歯と変わらない見た目に仕上がることから、形の整った美しい歯にしたり、歯並びを整えたりする審美歯科の目的で用いられるでしょう。

ただし、基本的には虫歯や変色した歯などを治療するための方法の一つとなっているため、セラミック治療は審美だけが目的とはなっていません。


セラミックの素材と特徴

歯のセラミック治療に用いられる素材は、1種類だけではありません。

素材により、強度や透明感などの特徴がそれぞれ異なっており、治療に適した歯の部位も異なります。

そのため、事前にそれぞれの素材の特徴を把握したうえで治療を受けることがおすすめです。

ラミネートベニヤ

歯を削った部分に、シェル状のセラミックを接着させて治療する方法です。

付け爪のようなセラミックを、接着性レジンを用いて貼り付けます。

削る量は約1mm弱と少ない量で済むため、治療時間は短く歯にかかる負担も抑えられるでしょう。

とくに人の視線が集まる前歯周辺の色・形を整えることや、歯並びを整える審美治療目的で使用される方法です。

メタルボンドクラウン

表面はセラミック、その内部に金属フレームが用いられている被せ物や差し歯を、メタルボンドクラウンといいます。

セラミックの美しさに加えて、金属フレームの強度も併せ持っているため、負荷のかかりやすい奥歯への使用に最適な素材です。

ただし、金属フレームがあることにより、後述するオールセラミックと比較すると透明度は劣ります。

オールセラミッククラウン

オールセラミッククラウンは、その名前の通りセラミックだけで構成されているため、体にやさしい被せ物・差し歯です。

また精巧な作りにより、天然歯と遜色ない仕上がりになる特徴をもっています。

透明感や白さなどの美しさが再現できるため、前歯などの目立つ部分の治療に最適です。

ジルコニア

ジルコニアは、セラミックのなかでも軽量で強度に優れた素材です。

その特徴から、人工ダイヤモンドや人工関節のほか、スペースシャトルの外壁にも用いられています。

透明度が低いため、ほかの素材に比べると見た目の美しさは劣りますが、金属を含まないにもかかわらず高い強度が特徴です。

そのため、オールセラミックよりも割れるリスクは低く、食事の際などに強い負荷がかかる奥歯への使用も適している素材になります。


歯のセラミック治療のメリット

素材により特徴が異なるセラミックですが、優れた性質を持っていることは共通して変わりません。

金属や歯科用プラスチックにはない性質を持つセラミックの治療を受けると、下記のメリットを得られます。

天然歯のような審美性の高さ

天然歯と見比べても劣らない仕上がりになる審美性の高さは、セラミック治療を受けるうえでの最大のメリットといえます。

透明感があることに加えて、治療を受ける方の天然歯の色に合わせて着色できるため、不自然な見た目になることはありません。

一方、銀歯などを用いると天然歯との違いが大きく、自然な見た目にすることは難しくなっています。

とくに人の視線が集まりやすい前歯周辺では、不自然さが目立ってしまうでしょう。

セラミックの治療は、差し歯を1本だけ変更することや、歯の隙間を埋めるようにサイズ調整もできるため、周囲から見ても違和感のない自然な仕上がりになります。

金属アレルギーでも使用できる

セラミックは金属が使用されていません。

そのため、金属アレルギーの方でも安心して、使用できる素材となっています。

一方、一般的に治療に使用される銀歯は、金属アレルギーの方は避けるべき素材です。

銀歯は口腔内の環境に長期間さらされると、成分が少しずつ溶け出す性質をもっています。

成分が溶け出すと、のちに金属アレルギーの症状として、口内炎やアトピー性皮膚炎などになるケースがあるため注意が必要です。

セラミックは成分が溶け出すことはないため、金属アレルギーの心配はありません。

ただし、セラミックの素材の1つである、メタルボンドクラウンには注意してください。

理由は内部に金属が用いられているため、金属アレルギーを引き起こす可能性がゼロではないからです。

アレルギーが心配な方は、メタルボンドクラウン以外のセラミック素材を治療に用いるなど、工夫が必要でしょう。

金属よりも強度がある

セラミックは、陶器と同じ素材でできています。

そのため、雑菌や弱アルカリ性の唾液がある口腔内の環境に長期間さらされ続けても、影響を受けず劣化しない強度が魅力です。

それに加えて、セラミックはなめらかな表面構造となっているため、食べ物の残りカスのほか、茶渋やヤニなどの色が付着しづらいメリットも併せ持っています。

一方、銀歯や歯科用プラスチックは、変形や破損・変色など、長期間の使用による劣化が発生する素材です。

変形すると隙間ができ虫歯の再発を招くほか、早めの作り替えが必要になるなど、セラミックと比較すると機能性に劣ります。


歯のセラミック治療のデメリット

セラミック治療はメリットばかりではありません。

内容によっては金銭面や歯にかかる負担などが、通常の治療に比べて大きくなる方法となっています。

そのため、事前にデメリットも理解したうえで、セラミック治療を受けるか検討が大切です。

保険が適用されない

セラミックは虫歯などを治す健康目的での治療に、必ずしも必要なものではありません。

そのため、保険適用外となっており、治療費が高いことがデメリットの一つとして挙げられます。

治療費を抑えるために、保険適用内となる銀歯や歯科用プラスチックを用いた治療を検討する方もいるでしょう。

しかし、セラミックよりも安価な銀歯や歯科用プラスチックは、劣化しやすい素材です。

早めの作り替えが必要になる点を考慮すると、強度に優れ劣化しづらいセラミックが高いとは一概にはいえません。

治療を受ける方のなかには、長期間にわたって使用できるセラミックを安いと考える方もいます。

健康な歯を部分的に削らないといけない

セラミックの強度を保つため、治療の際には虫歯部分だけではなく、健康な部分も削らなければいけません。

削る量は、審美治療や詰め物・被せ物などでそれぞれ異なります。

たとえば、神経の治療を必要としない程度の虫歯であれば、少量削ったあと詰め物をして完了です。

それ以上に虫歯が進行している場合や、歯並びを整える審美治療目的の場合などには、セラミッククラウンといわれる被せ物になります。

天然歯と同じく歯茎から生えているように見せるため、健康な歯も大きく削る必要があります。

このように、治療内容によっては健康な歯を大きく削ることになるため注意してください。

セラミックの歯には寿命がある

強度が高く劣化しづらいセラミックですが、寿命がないわけではありません。

たとえば、加齢により歯茎が痩せてその位置が下がると、境目が目につくようになってしまいます。

また手入れ不足があると、二次虫歯と呼ばれる虫歯の再発を招くことも考えられるでしょう。

二次虫歯は、詰め物や被せ物との間に生じた隙間から、細菌が入り込むことが原因となるもので、その症状は通常の虫歯と同様です。

セラミックそのものは虫歯になることはありませんが、上記の症状が発生し再度治療する際には、現在のものを取り外して新たに作り直します。


歯のセラミック治療を必要とするケース

セラミック治療は保険適用外のため、治療費が高くなる傾向です。

しかし、保険適用内の治療では得られない、健康的な歯の維持や、長期間劣化を抑えられる強度を持っています。

そのため、下記症状がある場合には、とくにセラミック治療がおすすめです。

虫歯が進行していて大幅に削らないといけない

軽度の虫歯であれば歯を削る必要はありませんが、虫歯の進行具合によっては、大幅に削ることになります。

その際には歯を削って終わりではなく、歯の修復のために詰め物や被せ物が必要です。

詰め物・被せ物の素材として、銀歯や歯科用プラスチックもありますが、セラミックを使用すると虫歯の再発リスクが抑えられます。

なめらかな表面構造のため、食べ物の残りカスや細菌も付着しづらく、虫歯になりづらい美しい歯が保ちやすくなるでしょう。

虫歯が進行していて神経を治療しなければいけない

強い痛みや液体が沁みるような症状がある場合など、虫歯の進行具合によっては、神経の治療を行うことになります。

その際、虫歯をとり神経の治療をした箇所に、詰め物や被せ物が必要です。

歯は神経を抜くと、次第に変色し黒く目立つようになり、見た目が悪くなります。

そこでセラミックの治療を用いることにより、神経の治療で変色した部分を天然歯と同じように美しく見せることができるでしょう。

歯そのものが欠損している

虫歯の進行や硬いものを噛んだ衝撃で歯が欠損した場合などにも、セラミックは有効です。

欠けた歯はそのままにしておくと、象牙質といわれる歯の内部が露出してしまい、虫歯の進行を早める原因になります。

場合によっては、細菌が侵入して歯茎の炎症を招くことや、知覚過敏を引き起こすため注意が必要です。

また炎症によって欠損部が大きくなると、口腔内を傷つける可能性もあるため、早期の治療を心がけてください。

セラミックを用いて治療を行うことにより、欠けた歯も天然歯に近い見た目に整えられます。

過去に治療した詰め物が劣化している

銀歯などの詰め物は長期間の使用により寿命が近づくと、歯が黒っぽく見える劣化を起こします。

そこでセラミックの詰め物にすると、長期間の劣化を抑えて、天然歯と変わらない見た目の維持が可能です。

なお、詰め物の寿命は素材により異なります。

たとえば銀歯であれば3〜5年が目安となりますが、前述した通り劣化によって歯を黒く見せる性質を持っています。

そのため、劣化が見られた際には目安に限らず、詰め物として使用を続けられない素材です。

また歯科用プラスチックのレジンは、一般的には10年ほどの寿命といわれています。

ただし、紅茶やコーヒーなどの茶渋が付きやすい飲料を好む方は、場合によっては5年程度で変色が現れます。

その点、セラミックは劣化や変色が起こりにくいため、定期的なメンテナンスを行っていれば20年ほどの長い寿命がある素材です。


歯のセラミック治療に注意が必要なケース

現在の歯の状態によっては、セラミック治療を受ける際に注意が必要です。

とくに下記に当てはまるケースでは、無闇にセラミック治療を受けることは避け、十分な検討を行ってください。  

これまで1度も虫歯治療をしていない歯

セラミックを取り付けるためには、歯を削らなければいけません。

虫歯部分だけではなく、あえて健康な部分の歯も削ることになるため、注意が必要です。

また削った部分と取り付けたセラミックの隙間から虫歯になる可能性が発生します。

これまで健康だった歯が虫歯になりやすくなることに加えて、歯は一度削ると元に戻らないことを意識しておくことが大切です。

歯軋りや食いしばりのくせがある

高い強度をもつセラミックですが、同じ場所に負荷がかかり続けると、ヒビ割れが発生する可能性があります。

とくに、無意識下で起こる食いしばりや就寝中の歯軋りのくせがある場合には、強い負荷がかかるため注意してください。

セラミックを正常な状態で長期間使用するためには、まず食いしばりや歯軋りのくせの改善を行う必要があります。


まとめ

セラミックの治療では、健康な歯を削る工程があるなど、注意すべき点があります。

しかし、高い強度をもつ素材となっているため劣化しづらく、取り付けた後は長期間の使用ができる優れた素材です。

また審美目的で用いられるほど、天然歯に近い仕上がりとなる特徴ももっています。

そのため、セラミックの治療を受けると、目立つ位置にある前歯周辺でも、違和感なく周囲の視線も気にならない美しい自然な仕上がりが可能です。