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顎関節症にスプリントは有効?ー顎を治す装置と、歯を守る装置は少し違う

2026/10/02

こんにちは、静岡市駿河区の小嶋デンタルクリニックです。



顎が痛い、口が開けづらい、顎を動かすと音がする。
このような顎関節症の症状で歯科医院を受診した際、
「マウスピースを作りましょう」
と言われた経験がある方もいらっしゃると思います。
このマウスピースは一般的に「スプリント」と呼ばれます。
では、
顎関節症になったら、スプリントを入れれば治るのでしょうか?
実は、現在はそこまで単純には考えられていません。

スプリントには大きく2つの考え方があります

スプリントを使用する目的は、大きく分けると、
・顎関節症の痛みや筋肉の症状を軽減する
・歯ぎしりや食いしばりから歯や補綴物を守る
という2つがあります。

同じ装置を使うことがありますが、この2つは目的が少し異なります。

「顎が痛いからスプリント」は本当に有効?

以前は、
「顎関節症=スプリント」
というくらい、広く使用されていた時期もありました。
しかし現在の研究をまとめてみると、顎関節症に対するスプリントの効果については、それほど強いエビデンスがあるわけではありません。
2026年に発表された、これまでの21本のシステマティックレビューをまとめた研究では、スプリントによる顎関節症の痛みや開口量への効果は、
「小さな改善がみられる、あるいは他の治療と大きな差がない」
という結果が中心でした。
つまり、
「スプリントを入れれば顎関節症が治る」
と考えるのは少し違います。
過去の大規模なシステマティックレビューでも、顎関節症全体をまとめて評価すると、スプリントによる疼痛改善を明確に示すことはできず、エビデンスの確実性も低いとされています。

なぜスプリントだけでは不十分なのでしょうか

そもそも「顎関節症」はひとつの病気ではありません。
例えば、
・咀嚼筋を中心とした筋肉の痛み
・顎関節そのものの炎症
・関節円板のずれ
・変形性顎関節症
・食いしばりやTCH(上下歯列接触癖)
・ストレスや生活習慣
など、さまざまな原因や病態が含まれています。
そのため、
「顎が痛い」
という症状だけを見て全員に同じスプリントを使用しても、当然効果には差が出ます。
顎関節症ではまず、
何が痛みの原因なのか
を評価することが重要です。
そのうえで、
・顎を安静にする
・硬いものを控える
・開口訓練などの運動療法
・TCHや食いしばりなどの習癖の改善
・必要に応じた鎮痛薬
・場合によってスプリント
などを組み合わせて治療していきます。

一方、「歯を守る」目的のスプリントは少し考え方が違います

では、スプリントは意味がないのかというと、そうではありません。
特に歯ぎしりや強い食いしばりがある方では、
歯や被せ物にかかる力を受け止めるための装置
として使用する意味があります。
例えば、
・セラミックの被せ物が頻繁に割れる
・詰め物が何度も欠ける
・天然歯がすり減っている
・インプラントの上部構造に強い力がかかる
・夜間の歯ぎしりが強い
といったケースです。
睡眠時ブラキシズムそのものをスプリントで「治療できる」かについては、現在も十分なエビデンスはありません。
つまり、
スプリントを入れれば歯ぎしりをしなくなるわけではありません。
しかし、上下の歯の間にスプリントを介在させることで、天然歯や補綴物が直接ぶつかることを防ぎ、機械的に保護するという考え方はあります。
最近のレビューでも、睡眠時ブラキシズムに対するスプリントは、特に「機械的な保護」を目的とする保存的な方法として位置づけられています。
ただし、
「スプリントを入れればセラミックが絶対に割れなくなる」
「インプラントのトラブルを必ず防げる」
というほど強い臨床エビデンスがあるわけではありません。
ここは分けて考える必要があります。

当院では「何のためのスプリントなのか」を考えます

小嶋デンタルクリニックでは、
顎関節症だからといって、すべての患者さんにスプリントを作製するわけではありません。
顎関節症に対して使用するのであれば、
・筋肉由来の痛みなのか
・関節由来なのか
・開口障害があるのか
・食いしばりやTCHが関係しているのか
などを確認したうえで適応を判断します。
一方で、
強い歯ぎしりや食いしばりがあり、セラミックやインプラント、天然歯を長期的に保護したい場合には、スプリントを使用することがあります。
同じ「マウスピース」でも、
顎関節症を治すためなのか。
歯を守るためなのか。
ここを分けて考えることが大切です。

まとめ

スプリントは非常に便利な装置ですが、万能ではありません。
「顎が痛いから、とりあえずスプリント」
という治療ではなく、
まず顎関節症の病態を評価し、その患者さんに本当に必要なのかを判断することが重要です。
一方、歯ぎしりや食いしばりによる強い力から歯や補綴物を守るという意味では、スプリントは現在でも有用な選択肢のひとつです。
大切なのは、
スプリントを入れることそのものではなく、「何を目的に入れるのか」を明確にすること。
顎関節症の治療も、歯を長く守る治療も、そこからスタートします。


コジデン理事長ブログ(様々なことをゆる〜く書いています)

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インプラント専門サイトはこちら
→ https://ryu-implant.net

監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
小嶋デンタルクリニック 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕


静岡市出身
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。

〔所属学会・所属団体〕


歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会)
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
静岡市歯科医師会 2020-2022 理事
静岡市介護認定審査委員