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歯医者の麻酔で気分が悪くなったことがある方へ|原因と安全に治療するための対策

2026/08/27

こんにちは、静岡市駿河区の小嶋デンタルクリニックです。

「以前、歯医者で麻酔をしたときに気分が悪くなったことがあります」
初診時の問診で、このようなお話を伺うことがあります。
患者さん自身は、
「麻酔が体に合わないのかもしれない」
「麻酔アレルギーだと思います」
と認識されていることも少なくありません。
もちろん、過去に局所麻酔後の体調不良があった場合には注意が必要です。
しかし、「麻酔をした後に体調が悪くなった=麻酔アレルギー」とは限りません。
歯科治療中に起こる体調不良には、いくつか異なる原因があります。
今回は、歯科麻酔で起こることがある体調変化と、当院で行っている安全管理について解説します。


比較的よくみられる「迷走神経反射」

歯科医院という場所そのものに緊張する方は少なくありません。
「麻酔の注射が怖い」
「治療が痛かったらどうしよう」
「昔の歯科治療で怖い経験をした」
こうした不安や緊張に加え、痛み、睡眠不足、空腹などが重なることで起こることがあるのが迷走神経反射です。
自律神経の働きによって一時的に血圧や心拍数が低下し、
* 気分が悪くなる、吐き気がする
* 冷や汗が出る
* 顔色が青白くなる
* めまいがする
* 目の前が暗くなる
* 意識が遠くなる
などの症状が現れることがあります。
場合によっては、一時的に意識を失うこともあります。
麻酔注射の直後に起こることがあるため、
「麻酔を打った直後に具合が悪くなったから、麻酔アレルギーだった」
と思われることがあります。
しかし、迷走神経反射は局所麻酔薬に対するアレルギーとはまったく異なる反応です。

本当の麻酔アレルギーでは、どのような症状が出る?

アレルギー反応の場合には、症状の現れ方が異なります。
例えば、
* 蕁麻疹
* 皮膚の赤みや痒み
* 唇や舌、喉の腫れ
* ゼーゼーする
* 呼吸が苦しくなる
などです。
特に注意しなければならないのがアナフィラキシーです。
重篤なアレルギー反応では、気道の腫れや呼吸困難、血圧低下などが急速に進行し、緊急対応が必要になることがあります。
一方で、現在歯科で一般的に使用されている局所麻酔薬そのものに対する真のアレルギーは非常に稀とされています。
そのため、
「昔、麻酔で気分が悪くなった」
という情報だけでアレルギーと判断するのではなく、そのとき何が起きたのかを詳しく確認することが大切です。

「麻酔をしたら心臓がバクバクした」は?

もう一つ、患者さんからよく聞くのが、
「麻酔をしたら急に心臓がバクバクした」
という経験です。
歯科で使用する局所麻酔薬には、麻酔効果を長く保ち、治療部位からの出血を抑える目的でアドレナリンが含まれているものがあります。
その作用や治療時の緊張などによって、
* 動悸
* 心拍数の増加
* 手の震え
* 発汗
* 落ち着かない感じ
などを感じることがあります。
これも「麻酔が合わなかった」と感じやすい症状ですが、アレルギーとは異なります。
患者さんの既往歴や全身状態、治療内容などによっては、アドレナリンを含まない局所麻酔薬を選択することもあります。

まれですが「局所麻酔薬中毒」というものもあります

局所麻酔薬には、安全に使用できる投与量があります。
使用量が多くなった場合や、誤って血管内に注入されるなどして血中濃度が上昇すると、局所麻酔薬中毒を起こす可能性があります。
初期には、
* めまい
* 耳鳴り
* 口の周囲のしびれ
* 味覚の異常
* 不安感や意識状態の変化
などがみられることがあり、重症になると痙攣や意識障害、循環器系の症状を起こすことがあります。
頻度の高いものではありませんが、これも局所麻酔を使用する医療機関として知っておかなければならない偶発症の一つです。

大切なのは「麻酔で具合が悪くなった」の中身

小嶋デンタルクリニックでは、
「以前、麻酔で具合が悪くなりました」
とお聞きした場合、その一言だけで判断するのではなく、当時の状況をできるだけ詳しく確認します。
例えば、
いつ起きたのか。
麻酔をして何分後だったのか。
冷や汗は出たのか。
顔色はどうだったのか。
動悸だったのか。
蕁麻疹は出たのか。
呼吸は苦しくなかったのか。
意識を失ったのか。
こうした情報によって、考えるべき原因は大きく変わります。
また、高血圧や心疾患などの既往歴、現在服用している薬、過去のアレルギー歴、当日の体調なども安全に治療を行ううえで重要な情報です。
必要に応じて血圧などを確認しながら治療を進めます。

万一のアレルギー・アナフィラキシーにも備えています

局所麻酔薬による重篤なアレルギー反応は非常に稀です。
しかし、医療を行う以上、
「滅多に起こらないから、準備しなくてよい」
ということではありません。
アナフィラキシーは、蕁麻疹や粘膜の腫れだけでなく、呼吸困難や血圧低下などが急速に進行する可能性があります。
そのため小嶋デンタルクリニックでは、万一の急変を想定し、アレルギーやアナフィラキシーなどの緊急時に初期対応を行うための薬剤や酸素投与などに必要な機器を院内に準備しています。
ただ、重要なのは「薬剤や機器を置いてあること」だけではありません。
患者さんの変化を早期に察知すること。
必要な初期対応を速やかに行うこと。
そして重篤な状態では、救急要請を行い、適切な医療機関へつなげること。
そこまで含めて緊急対応だと考えています。

歯だけではなく、患者さん全体を診る

虫歯治療、根管治療、歯周病治療、抜歯、インプラント治療など、歯科ではさまざまな場面で局所麻酔を使用します。
日常的に使用するものだからこそ、麻酔を安全に行うための準備は欠かせません。
そして歯科治療で大切なのは、治療する歯だけを見ることではなく、その治療を受ける患者さんの全身状態まで見ることだと私たちは考えています。
「昔、歯医者の麻酔で倒れたことがある」
「麻酔をすると動悸がする」
「以前、麻酔後に蕁麻疹が出た」
「注射がとても苦手で、見るだけで気分が悪くなる」
こうした情報は、些細なことではありません。
安全に治療を行うための大切な情報です。
過去に麻酔後の体調不良を経験したからといって、必ずしも「もう歯科麻酔はできない」ということではありません。
「麻酔が合わない」と一括りにするのではなく、過去に何が起きたのかを整理し、その方に合わせた治療方法を考える。
そして、万一の偶発症が起きた場合にも対応できるよう準備しておく。
それが、安全な歯科医療につながると考えています。
過去に歯科麻酔で気分が悪くなった経験がある方、麻酔に不安がある方は、治療前に遠慮なく歯科医師やスタッフへお伝えください。


コジデン理事長ブログ(様々なことをゆる〜く書いています)

https://ameblo.jp/kojima-dental
インプラント専門サイトはこちら
https://ryu-implant.net

監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
小嶋デンタルクリニック 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕


静岡市出身
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。

〔所属学会・所属団体〕


歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会)
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
静岡市歯科医師会 2020-2022 理事
静岡市介護認定審査委員