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神経を取っているのに歯が痛い?痛みを感じる「歯根膜」とは

2026/07/24

こんにちは、静岡市駿河区の小嶋デンタルクリニックです。

患者さんから、ときどきこのような相談を受けます。
「この歯は以前、神経を取ったはずなのに痛みます」
「神経がない歯なのに、噛むと痛いのはなぜですか?」
「神経を取れば、もう歯は痛くならないと思っていました」
確かに、歯の神経を取る治療をすると、冷たいものや熱いものがしみる感覚は基本的になくなります。
しかし、歯の神経を取ったからといって、その歯に関係するすべての感覚がなくなるわけではありません。
その理由は、私たちが歯で感じている感覚には、歯の内部にある「歯髄」だけでなく、歯の周囲にある「歯根膜」が大きく関係しているからです。


歯の「神経」とは歯髄のこと

一般的に「歯の神経」と呼ばれているものは、正確には「歯髄」といいます。
歯髄は歯の中心部分に存在し、神経だけでなく血管なども含んだ組織です。歯に栄養を供給するとともに、外部からの刺激を感じ取る役割を持っています。
特に歯髄が感じ取りやすいのは、
* 冷たいものがしみる
* 熱いものがしみる
* 虫歯が進行してズキズキする
* 刺激が加わったときに鋭く痛む
といった感覚です。
歯髄は刺激の種類を細かく区別するというよりも、強い刺激を「痛み」として知らせる警報装置のような役割を担っています。
虫歯や外傷などによって歯髄に回復できない炎症が起きた場合には、根管治療によって歯髄を取り除くことがあります。これが、一般的に「神経を取る」と呼ばれる治療です。

噛んだ感覚を伝える「歯根膜」

一方、歯の根の周囲には「歯根膜」という薄い組織があります。
歯は顎の骨に直接くっついているわけではありません。歯根と顎の骨との間に歯根膜が存在し、クッションのように歯を支えています。
歯根膜には非常に繊細な感覚があります。
例えば、
* 食べ物を噛んでいる感覚
* 硬いものや柔らかいものを判別する感覚
* 歯を叩かれたときの感覚
* 歯に強い力が加わっている感覚
* 噛み合わせがわずかに高いと感じる感覚
などは、主に歯根膜によって認識されています。
髪の毛や小さな骨のかけらなど、非常に薄いものが歯の間に挟まっただけでも違和感を覚えることがあります。これは、歯根膜がわずかな圧力の変化を敏感に感じ取っているためです。
つまり、歯髄を取った歯であっても、歯の周囲にある歯根膜の感覚は残っています。
そのため、神経を取った歯でも、噛む、押す、叩くといった刺激を感じることができるのです。

神経を取った歯が痛む主な原因

神経を取った歯に痛みが出る場合、歯の内部の神経ではなく、歯根の周囲にある歯根膜や顎の骨に炎症が起きている可能性があります。

1.歯の根の先に炎症や病巣がある
根管治療を行った歯でも、根管内に細菌が残っていたり、治療後に再び細菌が侵入したりすることがあります。
細菌が歯根の先まで到達すると、根の周囲の歯根膜や顎の骨に炎症が広がります。これを根尖性歯周炎と呼びます。
このような場合には、
* 噛むと痛い
* 歯が浮いているように感じる
* 歯を叩くと響く
* 歯茎を押すと痛い
* 歯茎が腫れる
* 歯茎にニキビのような膨らみができる
といった症状が現れることがあります。
歯の内部に歯髄が残っていなくても、歯根の周囲には感覚があるため、炎症による痛みを感じます。

2.噛み合わせが高くなっている
詰め物や被せ物を装着した後、わずかに噛み合わせが高い状態になることがあります。
特定の歯に強い力が集中すると、歯根膜に負担がかかり、炎症を起こす場合があります。
この場合も、
「噛んだ瞬間だけ痛い」
「その歯だけ先に当たる感じがする」
「歯が浮いているように感じる」
といった症状が出ます。
歯根膜は非常に敏感な組織です。肉眼ではほとんど分からない程度の高さの違いでも、患者さんは強い違和感として感じることがあります。

3.歯ぎしりや食いしばりによる負担
夜間の歯ぎしりや日中の食いしばりによって、一部の歯に強い力が加わり続けると、歯根膜に炎症が起こることがあります。
特に神経を取った歯は、虫歯や過去の治療によって歯質が少なくなっていることも多く、強い力に対して注意が必要です。
朝起きたときに痛む、噛み始めに違和感がある、数日ごとに痛みが変動するという場合は、噛む力の影響も考えられます。

4.歯の根にひびが入っている
神経を取った歯は、健全な歯と比較して歯質が少なくなっていることがあります。
さらに、長期間にわたって強い噛み合わせの力が加わると、歯や歯根にひびが入ることがあります。
歯根にひびが入ると、その隙間から細菌が侵入し、歯根膜や歯の周囲に炎症を起こします。
初期にはレントゲンで明確に確認できないこともあり、
* 特定の方向で噛んだときだけ痛む
* 一度痛みが軽くなっても再発する
* 歯茎の一部分だけ腫れる
* 同じ場所に膿の出口が繰り返しできる
といった経過から診断していくことがあります。

実際のケース:数年前に神経を取った歯が噛むと痛い

ある患者さんが、「数年前に神経を取った奥歯が、最近になって噛むと痛くなった」と来院されました。
冷たいものや熱いものがしみることはありません。しかし、食事の際に硬いものを噛むと痛みがあり、歯が少し浮いているように感じるとのことでした。
診察すると、その歯を軽く叩いた際に、周囲の歯よりも強く痛みを感じました。
レントゲンとCTで確認したところ、歯根の先に透過像があり、根の周囲に炎症性の病巣が形成されていることが分かりました。
この痛みは、歯の内部にある神経が痛んでいたのではありません。
根管内の感染によって歯根の先に炎症が生じ、周囲の歯根膜や顎の骨が刺激されて痛みが出ていたのです。
被せ物を外して根管内を確認し、感染した部分を再度清掃・消毒する再根管治療を行いました。その後、根の周囲の炎症が落ち着くにつれて、噛んだときの痛みも徐々に改善しました。
このように、神経を取った歯の痛みでは、歯髄ではなく、歯根膜や歯根の周囲に原因があることが少なくありません。

神経を取れば、歯の痛みがすべてなくなるわけではない

根管治療は、炎症や感染を起こした歯髄を取り除き、歯を残すための重要な治療です。
しかし、神経を取ることは「その歯が今後一切痛みを感じなくなる」という意味ではありません。
歯髄を取った後も、
* 歯根膜
* 歯茎
* 顎の骨
* 噛み合わせに関係する筋肉や関節
など、歯の周囲には感覚を持つ組織が数多く残っています。
そのため、感染、噛み合わせの負担、歯ぎしり、歯根の破折などが起これば、神経を取った歯でも痛みや違和感が生じます。
むしろ神経を取った歯は、冷たいものがしみるなどの分かりやすい警告が出にくいため、異常に気づくのが遅れることもあります。

痛みがなくても定期的な確認が大切です

歯根の先に病巣があっても、初期にはほとんど症状がないことがあります。
症状がないままゆっくりと病巣が大きくなり、体調を崩したときや噛む力が強く加わったことをきっかけに、突然腫れや痛みが出る場合もあります。
神経を取った歯は、痛みの有無だけで状態を判断するのではなく、定期的なレントゲン検査や噛み合わせの確認が重要です。

まとめ

歯の感覚を司っているのは、一般的に「神経」と呼ばれる歯髄だけではありません。
歯の根の周囲には歯根膜があり、噛む感覚や、歯に力が加わった感覚を繊細に認識しています。
そのため、神経を取った歯でも、
* 歯根の先に感染や炎症がある
* 噛み合わせが高い
* 歯ぎしりや食いしばりで負担がかかっている
* 歯や歯根にひびが入っている
といった場合には、痛みが生じます。
「神経を取っている歯だから痛むはずがない」と考えて放置せず、噛んだときの痛みや腫れ、歯が浮くような違和感が続く場合には、早めに歯科医院で確認しましょう。
小嶋デンタルクリニックでは、レントゲンやCTなどを使用し、根管内の感染だけでなく、歯根膜や歯根周囲の状態、噛み合わせ、歯根破折の可能性などを総合的に診査します。
神経を取った歯に痛みや違和感がある方は、お気軽にご相談ください。


コジデン理事長ブログ(様々なことをゆる〜く書いています)

https://ameblo.jp/kojima-dental
インプラント専門サイトはこちら
https://ryu-implant.net

監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
小嶋デンタルクリニック 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕


静岡市出身
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。

〔所属学会・所属団体〕


歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会)
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
静岡市歯科医師会 2020-2022 理事
静岡市介護認定審査委員