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口の中の水ぶくれは何が原因?効果的な予防や対処法を紹介
2024/07/01
口の中にポツリと水ぶくれができることはありませんか。水ぶくれといっても「痛みがある、ない」「色が赤い、白い」など複数の種類があり、どのような症状か判断がつかないことも多いでしょう。
口の中にできる水ぶくれはそれぞれ原因があり、発症する原因やその特徴も異なっています。中には放置がおすすめできないケースもあるため、「たかが水ぶくれだし……」という油断は禁物です。
それぞれの原因を知っていれば、対処法や医療機関を受診する必要性やタイミングなどが分かりやすくなるでしょう。
この記事では、口の中にできる水ぶくれについて、原因や特徴、水ぶくれができた時の対処法や注意点、日頃からできる予防法などについて詳しく紹介します。
口の中に水ぶくれができる主な原因

口の中の水ぶくれは、一般的に、口腔粘膜の異常や感染症、外傷などによって生じるため、その原因や症状に応じて適切な対処が必要です。
ここでは、口の中に水ぶくれができる主な原因について詳しく説明します。
粘液嚢胞
粘液嚢胞は、粘膜の外傷によって口腔内の唾液腺が詰まり、その結果として唾液がたまることで生じる良性の嚢胞です。以下のような特徴があります。
- 見た目はピンクから赤色
- 触ると柔らかい感触
- 一般的には痛みを伴わない
- 舌の裏側にできるタイプは「ガマ腫」とも呼ばれる
粘液嚢胞は再発するケースも多いため、歯科医院や口腔外科などの医療機関で診察・治療してもらうことをおすすめします。
ヘルペス
ヘルペスは、ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症です。身体中のどこにでもできる性質があり、特に口の中・唇・デリケートゾーンに症状が現れやすいことで知られています。
口の中に水ぶくれができる場合、特に口唇ヘルペスが疑われます。
- ヘルペスウイルスに触れることによって感染・発症する
- 赤い色をしている
- 痛みを伴う
- 疲労やストレスによる免疫力の低下が原因になることもある
- 基本的に根治はせず、再発することがある
口唇ヘルペスの場合、口の周りや口内に小さな水ぶくれが現れ、破裂して潰瘍になることも多く、痛みを伴うことが大きな特徴です。
再発する可能性も高いため、発症の原因になる疲労やストレスコントロールなどを心がけてみてください。
それでも発症した際には医療機関で早めの治療を受けましょう。早期の治療が症状の軽減につながります。
手足口病
手足口病は、コクサッキーウイルスなどによって引き起こされる感染症で、おもに子どもが発症しますが、大人に感染することもあります。特徴的な症状は以下の通りです。
- 口の中、手のひら、足の裏などに水ぶくれや赤い発疹が現れる
- 口内炎に似た痛みを伴う
- 発疹は子どもよりも大人のほうが重くなる傾向がある
手足口病は特効薬がないため、一般的には対症療法を取り、治癒を待つことになりますが、その際は水分補給と栄養管理を心がけましょう。
サイナストラクト(フィステル)
サイナストラクト(フィステル)は、歯や歯ぐきに炎症や感染が広がり、その感染によって生じた膿を排出するために形成される水ぶくれです。サイナストラクトが形成される原因や特徴には以下があります。
- むし歯・歯周病の悪化によって発症することが多い
- 白色をしている
- 基本的には痛みがないが、体調によっては痛むこともある
- 口臭の原因になる
サイナストラクトの治療には、原因となるむし歯や歯周病の治療などが必要です。放置していると感染部位が広がるリスクがあるため、異常に気付いたら早めに治療を開始しましょう。
血腫
血腫は、口の中で血管が破れて血液が溜まってできる水ぶくれです。原因や特徴には以下のようなものがあげられます。
- 外傷や強い噛み締めなどで発生する
- 多くは痛みを伴わない
- 赤紫色をしている
大きな血腫は不快感を引き起こすこともありますが、基本的に痛みはなく、通常は自然に治っていきます。
しかし、治りが遅い場合や、腫れ・痛みなどの感染の兆候がある場合は、歯科医院や口腔外科などでの受診がおすすめです。
歯周膿瘍
歯周膿瘍は、歯周組織に感染が広がり、膿が溜まることで水風船のような水ぶくれが形成される症状です。原因や特徴は以下になります。
- 歯周炎や歯周病の進行で発生する
- 糖尿病などで免疫力が低下しても発生の恐れがある
- 歯ぐきが腫れ、水ぶくれのようになる
- 痛みを伴う
歯周膿瘍は放置しておくと痛みが激しくなったり、最悪の場合は歯が抜け落ちてしまうこともある症状で、人によっては発熱や倦怠感なども生じます。
できるだけ早めに歯科医院へ行き、原因を特定して適切な治療を受けましょう。
痛む水ぶくれ・痛まない水ぶくれの違い

水ぶくれは痛むもの、痛まないものがあります。痛む水ぶくれと痛まない水ぶくれにはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、痛む水ぶくれ・痛まない水ぶくれの違いについて紹介します。
痛む水ぶくれ
痛む水ぶくれは、口の中の炎症や感染が原因で発生することがあります。例えば以下が該当します。
- ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペス
- 歯周膿瘍
このような水ぶくれは、赤みを帯びて腫れ、触ると強い痛みを感じることが特徴です。
痛みの原因としては、炎症反応や組織の破壊が関与していることが多く、種類によっては感染が進行すると膿がたまり、膿瘍を形成するケースも見られます。
また、痛む水ぶくれの中には自己免疫性疾患によって引き起こされるものもあり、これは免疫システムが自分の組織を攻撃することによって炎症が生じる仕組みです。例えば以下のようなものがあります。
- 天疱瘡(てんぽうそう)
- 類天疱瘡(るいてんぽうそう)
どちらも口の中に痛みを伴う水ぶくれができることが症状のひとつです。
痛む水ぶくれの多くの治療には、抗生物質や抗ウイルス薬、場合によってはステロイド薬が必要になることがあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
放置すると悪化してしまう可能性があるため、我慢せず早めに医療機関での診察を受けましょう。
痛みのない水ぶくれ
痛みのない水ぶくれは、通常は炎症や感染によるものではなく、粘液嚢胞や血腫などが原因であることが一般的です。
例えば粘液嚢胞ですが、前述の通り、唾液腺が詰まることで唾液がたまり、透明な水ぶくれとなって現れます。この水ぶくれは柔らかく、触っても痛みを感じることはほとんどありません。
また、血腫は血管が破れて血液がたまることで形成されるものであり、赤紫色をしていますが、痛みを伴わないことも多々あります。
痛みがないため、日常生活に大きな支障をきたすことは少ないのですが、大きくなった場合や治癒が遅れる場合には不快感が生じることがあります。
口の中にできた水ぶくれの対処法は?

実際に水ぶくれができた際にはどのような対処法が適切なのでしょうか。ここでは、ウイルス性の水ぶくれや対処に迷いそうな粘液嚢胞、むし歯や歯周病由来の水ぶくれの対処法について紹介します。
ウイルス性の水ぶくれ
ヘルペスウイルスや手足口病など、ウイルスが原因で発生する水ぶくれは、感染の恐れがあるため、その対処から始める必要があります。以下のことを心がけましょう。
- 手洗いを徹底する
- ご家族と共用のものを使ったら消毒する
このようなことを徹底しながら、早めに医療機関で診察と治療を受けましょう。治療では抗ウイルス薬を使用するのが一般的です。
抗ウイルス薬はウイルスの増殖を抑え、症状の重症化を防ぐ効果があります。また、痛みを和らげるために鎮痛薬の使用も有効です。
さらに、ストレスや疲労が発症の引き金となることが多いため、十分な休養を取ることも大切です。
医療機関へ行って治療を受けても水ぶくれが悪化したり、症状が長引いたりする場合は、改めて受診することをおすすめします。
粘液嚢胞
粘液嚢胞の場合、医師の診察と判断により、嚢胞の除去や、唾液腺の詰まりをなくすための手術が行われることがあります。
粘液嚢胞の手術は医療保険が適用され、費用目安としては約5,000~10,000円が一般的です。
また、再発防止のためには、以下のような適切なケアが重要です。
- 丁寧な歯磨きを心がける
- 硬い食べ物、硬い歯ブラシなどでの刺激を避ける
- アルコールも刺激になるため摂取する際は注意する
このような方法を取り入れ、そのほか、医師の指導を実践するなどの工夫をしながら再発を防止していきましょう。
むし歯や歯周病由来の水ぶくれ
サイナストラクトや歯周膿瘍といったむし歯や歯周病由来の水ぶくれは、歯科医院での専門的な治療が必要です。放置すれば歯を失う原因になるため、早めに受診しましょう。
通常は抗生物質の投与や、感染部位の洗浄、場合によっては外科的処置が行われます。
治療後は、歯周病の再発を防ぐために適切な口腔内ケアの継続が重要です。以下のことを心がけましょう。
- 歯磨きやフロスを用いて口腔内の清潔を保つ
- 定期的な歯科検診を受ける
- バランスの取れた食事を心がける
- 節煙・禁煙にトライしてみる
むし歯や歯周病は口腔内を清潔に保っていればかかりにくい病気のため、日頃からの口腔内ケアを習慣化していきましょう。
水ぶくれができた時に気をつけること

水ぶくれが治るまで、悪化したり感染させたりしないように気をつける必要があります。ここでは、水ぶくれができた時に特に気をつけたいことについて紹介します。
刺激を与えない
水ぶくれができた時には、口腔内を刺激しないように気をつけましょう。特に以下のものには要注意です。
- 冷すぎる・熱すぎる飲食物
- 香辛料や酸味の強い食べ物
- そのほか刺激を与えそうなもの
- よく噛まずに食べる
水ぶくれは刺激を与えると痛みが生じるものもあり、炎症を悪化させることもあります。
特に、香辛料や酸味が多く含まれる食事、冷すぎる・熱すぎる飲食物は避け、口腔内の負担を軽減しましょう。
さらに、食事の際にはよく噛んでゆっくり食べることで、口内の水ぶくれにかかる負担を最小限に抑えやすくなります。
水ぶくれをつぶさない
水ぶくれができた時には、意図的に水ぶくれをつぶさないように注意しましょう。水ぶくれをつぶすと、感染のリスクが高まったり、治癒が遅れたりすることがあります。
もしも水ぶくれが破れてしまった場合には、傷口を清潔に保ち、炎症を起こさないように気をつけてみてください。
ウイルス性の水ぶくれであれば医療機関での受診が重要です。専門医による適切な治療やお薬の処方などで治癒を早めながら、感染防止に努めていきましょう。
つぶさないままでも水ぶくれが大きくなったり、痛みが増したりする場合は、何らかの異常が起きている可能性もあります。その際もできるだけ早く受診しましょう。
ウイルス性は感染に注意
ヘルペスウイルスや手足口病などをはじめ、ウイルス性の水ぶくれが原因である場合、感染拡大に注意する必要があります。
特にヘルペスウイルスや手足口病などは感染力が高く、ほかの人に感染する可能性が高いため、以下のように適切な予防策を講じることが重要です。
- 手洗いを徹底する
- タオルや食器を共有しない
- 皮膚の接触を控える
- できるだけマスクをする
ウイルスがほかの人に触れないよう、手洗いによる殺菌や道具の共有を避けるなど、接触する機会を減らす工夫は非常に大切です。
水ぶくれの予防方法

口の中にできる水ぶくれは、日頃のセルフケアで予防できることもあります。ここでは、日頃からできる水ぶくれの予防方法について紹介します。
バランスのよい食事
バランスのよい食事は、口腔内の健康を保つために非常に重要です。以下のような食物や栄養素を意識して摂ることで、免疫力が向上し、感染症に対する抵抗力が強くなります。
- 新鮮な果物や野菜
- 良質なたんぱく源(魚、肉、豆類など)
- 鉄分
バランスの取れた食事は水ぶくれの予防だけではなく、全身の健康維持にも効果が期待できるため、日常的に心がけていきましょう。
十分な睡眠とストレス管理
十分な睡眠と適切なストレス管理は、免疫力を高めるために欠かせません。睡眠不足や過度なストレスは、体の免疫機能を低下させ、ウイルス感染や炎症を引き起こしやすくなります。
毎日規則正しい生活リズムを保ち、十分な睡眠を確保しましょう。
また、ストレスを感じた時には、リラクゼーションや趣味を楽しむ時間を設けるなど、自分に合った方法でストレスを軽減することが大切です。
物理的な刺激を避ける
硬い食べ物や鋭い物で口の中を傷つけると、水ぶくれが発生しやすくなります。また、誤って口の中を噛んでしまうことも水ぶくれの原因となるため、食事はゆっくりと摂るとよいでしょう。
さらに、口腔ケアの際には以下のことを意識してみてください。
- やわらかめの歯ブラシを使う
- 強すぎる力で磨かず、優しく磨く
このようなことで物理的な刺激を避けやすくなり、粘膜を傷付けるリスクが軽減できます。
まとめ
口の中にできる水ぶくれは、痛むもの・痛まないものに分かれ、種類もさまざまなため、原因や症状で対応を変える必要があります。
水ぶくれの種類によっては感染力が高く、ヘルペスや手足口病のように周囲の人へ感染しやすい性質を持つものもあり、「おかしいな」と思ったら放置をせず、医療機関の受診を検討しましょう。
また、口の中に水ぶくれを作らないためにはバランスのよい食事や十分な睡眠など、生活習慣の見直しをするのもおすすめです。
小嶋デンタルクリニックでは口の中の水ぶくれについてのご相談や、歯周病由来の水ぶくれに関する治療などについて対応可能です。水ぶくれでお悩みの際にはお気軽にご相談ください。