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インプラント治療の5つのメリットと7つのデメリットを詳しく紹介!

2023/05/30

虫歯や歯周病などで欠損した歯を補う治療法には、入れ歯やブリッジ、インプラントなどの選択肢があります。

インプラントとは、体内に埋め込む医療器具・材料のことです。

歯科領域では、顎の骨に埋め込む人工歯根をインプラントと呼び、チタンやチタン合金を骨に埋め込み、アバットメントと呼ばれる連結部品を取り付けて義歯を被せます。

インプラント治療には入れ歯やブリッジにはない多くのメリットがありますが、一方で、決して無視できないデメリットもあります。

この記事では、インプラント治療のメリット・デメリットと、インプラント治療が向いている・向いていない人の特徴を詳しく紹介します。


インプラント治療の5つのメリット

インプラント治療という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、具体的なメリットを詳しく把握している方は少ないのではないでしょうか。

ここでは、インプラント治療の5つのメリットを詳しく解説します。

審美面が優れている

インプラント治療では、人工歯根を顎の骨に埋め込み人工歯を取り付けるため、周囲の天然歯と調和する自然な外観を実現できます

また、インプラントはシリコンやプラスチックなどの一時的な修復物に比べて耐久性があり、色や形状が変わりにくいため、長期にわたり高い審美性を維持することが可能です。

他の健康な歯に負担をかけにくい

インプラントは人工歯根を1本1本埋め込むため、周囲の健康な歯とは独立しています。そのため、入れ歯やブリッジのように周囲の歯に負担がかかりにくいです

例えば、欠損した歯を修復する治療法にブリッジを選択した場合、両隣にある健康な歯を削り被せる必要があります。

インプラントは独立しており、他の健康な歯に負担がかかりにくいため、天然の歯を多く残したいと考えている方には大きなメリットです。

顎や口の骨が痩せにくくなる

インプラント治療では人工歯根を顎の骨に埋め込むため、骨との密接な接触を確立し、噛む力を骨に伝えられるようになります。

天然の歯は歯根を失うと、咀嚼時の力が骨まで届きません。刺激が届かなくなると骨は痩せていき、その影響は周囲の歯も巻き込んでしまいます。

しかし、インプラント治療では噛む力を骨に伝えられるため、顎や口の骨が痩せにくくなります
これにより、咀嚼や発音などの口腔機能を正常に維持することが可能です。

違和感が少ないため自然な会話や食事が可能

インプラントは違和感が少ないため、長期にわたり自然な会話や食事を楽しむことができます。

インプラントは、顎の骨にしっかりと取り付けられるため安定しています。動いたりずれる心配がないため、健康な歯のように違和感や不安感が少なく会話や食事を行えます

また、歯の欠損は発音に影響を与える可能性もあります。特に前歯の欠損は、発音が不明瞭になる場合が多いです。

しかし、インプラントにより欠損した歯を補完すれば、正確な発音を回復することができ、自然な会話を楽しむことができるようになります。

手間がかかりにくい

インプラントは入れ歯やブリッジに比べて耐久性が高く、日常的なメンテナンスも容易であるため、手間がかかりにくい点がメリットです。

入れ歯やブリッジは取り外しが可能であるため、日々のケアの際は取り外して清潔にする必要があります。

インプラントは取り外す必要がないため、日々のケアに手間がかかりません

また、仮に人工歯が破損した場合でも、入れ歯やブリッジに比べて修理や交換が比較的容易という点も大きなメリットです。


インプラント治療の7つのデメリット

インプラント治療を検討している方は、メリットだけではなくデメリットにも目を向けることが重要です。ここでは、主なデメリットを7つ紹介します。

治療費が高額

インプラント治療は自由診療であるため、他の治療法と比べて治療費が高額です。

患者様の状態や歯科医院により大きく変わりますが、インプラント1本の一般的な相場は20~40万円とされています

ブリッジや入れ歯は3~10万円が相場とされているため、かなり高額であることが分かります。

インプラント治療を行うためには高度な技術と設備が必要であり、歯科医師の専門知識と経験が求められます。また、インプラント自体の材料費も高額です。

しかし、健康保険は適用外ですが医療控除費の対象にすることはできます。

治療期間が長い

インプラント治療は、インプラントの埋入手術、骨との統合を待つ期間、人工歯の取り付けという手順があるため、治療に4~6ヶ月程の期間を要します。

入れ歯やブリッジは比較的治療期間が短く数ヶ月で終わるため、治療期間が長い点はデメリットと感じる方が多いでしょう

治療期間が長いと、さまざまなスケジュールを立てにくくなるため、事前に歯科医師と治療のスケジュールを確認しておくことをおすすめします。

術後メンテナンスが必須

インプラント治療後は、定期的なメンテナンスが必要です。定期メンテナンスでは、インプラントの定着状態や被せ物の状態などをチェックし、必要に応じて処置が行われます

正しい術後ケアは歯科医院への来院だけではなく、歯磨きやフロスを用いた日々のケアも含まれます。口腔衛生を維持するためにも、術後メンテナンスは欠かせません。

金属アレルギーの原因になる可能性がある

インプラント治療に使用される一般的な材料はチタンです。チタンは生体適合性が高く、安全かつ耐久性のある材料ですが、まれにアレルギー反応が生じることがあります

金属アレルギーでは、口内の腫れや炎症、発疹、口内痛などが現れます。

特有の感染症がある

インプラント治療特有の『インプラント周囲炎』と呼ばれる感染症があります。

インプラント周囲炎は、簡単にいうとインプラントの歯周病です。天然歯の歯周病と同様に、病気が進行すると周りの骨が溶けていきます。

インプラントと歯肉の接触部分で発症する炎症で、細菌感染や歯垢の蓄積が原因です。そのため、定期メンテナンスや日々の口腔ケアで予防することが可能です。

外科的手術によるリスク

インプラント治療は、人工歯根を顎の骨に埋め込む手術であるため、外科的手術に伴うリスクがデメリットとして挙げられます。

具体的には、手術中の出血、感染症、麻酔による合併症、神経や血管の損傷、手術部位の炎症や腫れなどです

インプラント治療における外科的手術のリスクを最小限に抑えるため、歯科医師は患者様の口腔状態を詳細に確認し、適切な手術判断を行います。

しかし、100%安全な外科手術はありません。少なからずリスクがある点は、デメリットとして覚えておくべきです。

治療できない場合がある

インプラント治療は、誰でもできるわけではありません。

重度の歯周病や骨粗しょう症、重い全身疾患がある場合は、歯科医師がインプラント治療ができないと判断することもあります


インプラント治療が向いている人の特徴

インプラント治療は、メリットだけではなくデメリットも理解したうえで受けることが重要です。
ここでは、特にインプラント治療が向いている人の特徴を紹介します。

審美性の高さを重視している

審美性の高さを重視したいと考えている方は、インプラント治療が向いています。

インプラントは、歯の形状や色調を患者様の自然の歯に合わせてカスタマイズできます。見た目と審美性を追求するのであれば、インプラントが適しています。

入れ歯やブリッジでは、審美性の面でやや劣る場合があるため、人前でうまく笑えなくなってしまったというケースも少なくありません。

周りの健康な歯を削りたくない

インプラント治療では健康な周りの歯を削らないため、自然の歯を多く残したいと考えている方に向いています
入れ歯やブリッジは他の歯を支えとして利用するため、健康な歯に負担がかかり、歯を削ることで寿命に影響を与える可能性もあります。

入れ歯を使いたくない

インプラント治療は、入れ歯やブリッジを使いたくない方に向いています

欠損した歯を補う治療法にはインプラントのほかに、入れ歯やブリッジなどの選択肢があります。
しかし、入れ歯はインプラントに比べて審美性が悪く、口内での安定性も劣るため、使いたくないと考える方もいます。

一部の歯が欠損した

インプラントは、周囲の健康な歯の状態を維持しながら欠損した歯を補うことができるため、一部の歯が欠損した方に向いています。

特に、ほかの歯に抜歯や治療が必要なく、やむを得ない事情や外傷などで1本だけ抜歯が必要になった場合は、噛みやすく天然歯と見た目が変わらないインプラントがおすすめです。

ブリッジをするための歯がない

人工歯を橋のようにかけて装着するブリッジの場合は、土台にできる歯がなければ治療できません。
その点インプラントは、顎の骨の量が十分であるなどの条件を満たせば、周囲の歯の状態に関係なく治療を進めることが可能です


インプラント治療が向いていない人の特徴

続いては、インプラント治療が向いていない・できない人の特徴を詳しく紹介します。

日々の歯磨きができない

インプラントは虫歯や歯周病になりませんが、口腔内を清潔に保つことができなければ、特有の感染症であるインプラント周囲炎を起こす可能性があります。

インプラント周囲炎が進行すると、最悪の場合、インプラントの除去が必要になる可能性があるため注意が必要です

感染症を予防するには、日々のセルフケアが欠かせません。
そのため、健康な歯を維持する意識が低い方、歯磨きの習慣がない方は、インプラント治療に向いていないといえます。

重度の歯周病

重度の歯周病の場合、歯肉や骨が大きく損傷しており、インプラントを埋め込むための顎の骨の量や質が不足している可能性があります。

また、歯周病が進行していると口腔内に歯周病菌が多く存在することになるため、治療後にインプラント周囲炎を発症する可能性が高くなります

これらの理由により、重度の歯周病の方はインプラント治療に向いていないといえます。

ヘビースモーカー

タバコには、ニコチンをはじめとする有害物質が含まれているため、血液循環を悪化させ骨の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

インプラント治療では、顎の骨にインプラントを統合させる必要があるため、喫煙により成功率が低下することが報告されています

また、タバコの煙に含まれる有害物資が口内の組織に対して炎症を引き起こす可能性があり、着色や歯肉の退縮など、審美的な問題点を引き起こすリスクもあります。

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは、骨の質や密度が低下する骨代謝異常の一つです。

インプラント治療では、インプラントを統合させるために十分な骨の質と量が必要になるため、骨粗しょう症の場合は安定性が問題になる可能性があります

治療が可能な場合もありますが、その際は歯科医師と骨粗しょう症の担当医が連携し、治療方法を工夫するなどの対策が求められます。

重い全身疾患がある

重い全身疾患を抱えている方は、免疫機能が低下している場合があります。

免疫機能が低下していると、インプラント治療後の傷口の治療は感染症のリスクを増加させる可能性があるため、治療には不向きだといえます。

インプラント治療が向いていないとされる主な全身疾患は、糖尿病、心臓病、高血圧、肝臓病などが挙げられます。

しかし、自身の症状を薬や治療でコントロールできる場合は、インプラント治療が受けられる可能性もあります。
詳しくは、担当の歯科医師へ相談してみましょう。


まとめ

インプラント治療のメリットとデメリット、向いている人と向いていない人の特徴を詳しく紹介していきました。

インプラントは審美性の高さをはじめ、他の健康な歯に負担をかけにくい、顎や口の骨が痩せにくくなるなど、さまざまなメリットがあります。

しかし、自由診療であるため治療費が高額、特有の感染症がある、術後メンテナンスがある、治療できない場合があるなど、多くのデメリットがあることも忘れてはいけません。
インプラント治療を受ける際は、歯科医師と相談したうえで検討することが重要です。

小嶋デンタルクリニックでは、十分な初期治療と精査を行い、切開・縫合しないM.Iインプラント治療を提供しています。

日本口腔インプラント学会所属、日本歯科先端技術研究所メンバー、ITIメンバーとして最前線のインプラント座学を学び、多くの実績があります。

「インプラント治療を考えているがデメリットが心配」だという方は、まずはお気軽にご相談ください。

監修歯科医師

医療法人社団GRIT 理事長
小嶋デンタルクリニック 院長

小嶋 隆三Ryuzo KOJIMA

〔院長略歴〕


静岡市出身
鶴見大学歯学部卒 総合歯科
医療法人 麗歯会 加藤歯科医院 勤務
医療法人 UG会 多田歯科医院 勤務
医療法人 清明会 静岡リハビリテーション病院 非常勤 勤務
2013年 小嶋デンタルクリニック開設
2023年 医療法人社団GRIT 設立
2023年 コロンビア大学歯学部歯周病学分野所長兼准教授(1987-2015)、台北医科大学教授、学部長(2017-2023)ピーター・ワン先生の講座へ入局
2024年には、グローバルインプラントブランド「DIOインプラント」において、日本一の年間実績(症例数)を達成。
難症例や骨造成を伴うケースにも精通し、確かな診断力と精緻な技術で遠方からの患者も多く、信頼を集めている。

〔所属学会・所属団体〕


歯科医師臨床研修指導医
公益社団法人日本歯科先端技術研究所 インプラント認証医
BPS(精密義歯)クリニカル国際認定医
公益社団法人日本口腔インプラント学会
ISOI(国際口腔インプラント学会)
日本顎咬合学会
日本スポーツ歯科学会
日本抗加齢医学会
日本歯科医師会
静岡市歯科医師会 2020-2022 理事
静岡市介護認定審査委員