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歯の移植について

2023/05/13

こんにちは、静岡市駿河区にある歯科医院、小嶋デンタルクリニックです。
 
歯の移植について相談があったので今日はその解説。
 
歯の移植、抜歯が必要な歯がある場合に親知らずなど移植しても良さそうな歯をチョイスして抜歯と同時に移植します。
 
ここでポイントなのが、抜歯と同時ということ。抜歯して完全に治ってから移植はできません。移植は抜歯して組織が治癒するその過程、リモデリングと呼ばれる骨の再生を利用して移植歯を固定するので、抜歯して完全に治っている場合は、インプラントなどの選択肢となります。移植は必ず抜歯と同時に行います。
 
移植歯として用いるのは過剰歯もしくは親知らず。
 
ほとんどの場合は親知らずです。親知らずが歯根分割せずに抜歯できれば移植の第一歩です。親知らずの歯根は複雑なことが多いほか、癒着したり、肥大していたり、スムーズに分割せずに抜けないことも多々あります。少しでも歯根を傷つけてしまうと移植はできなくなりますので、親知らず抜歯も歯冠分割のみで対応できれば移植のスタートラインに立てます。
 
次に移植先の状態です。抜歯となる原因のほとんどが根尖病巣に罹患しているか歯根破折で保存困難となっている状態が多く、嚢胞が大きくなっていることもあります。抜歯と同時にこの感染源をしっかり取り切ることが大事なのと、このように嚢胞化していることや慢性炎症している部位の骨の回復はすごく悪いことがあります。そのため感染源を取り除くのと同時に、血流を良くするために骨を切削したりすることもあります。
 
そして移植歯の歯根のサイズが、抜歯した部位のサイズに収まることが大事です。どこか強く当たっていたり無理に押し込んでしまうとうまく生着しないこともあります。サイズが合うということも大事です。
 
抜歯した移植先を一部削ることもあります。
 
これらの条件を全てクリアして、移植治療が可能となります。
 
そして移植後、6ヶ月間はスリープ状態となります。6ヶ月間は特に補綴などの処置はしないで土台の状態で置いておきます。骨の再生が十分に完了したのを確認し、補綴を行います。
 
このように移植は治療から最終補綴まで6ヶ月はかかるということも認識しておいてください。
 
またこの6ヶ月の間で移植がうまく固定されずに脱落する可能性も十分にあります。
 
エビデンスレベルでは移植歯の残存年数は平均10年とされています。もちろん10年以上残存するケースもありますが、多くの場合は10年で脱落してくると言われます。当院は今年でちょうど10年であるため、移植したケースで10年経過しているケースはまだありません。最長の方で9年目で移植した歯を使用しています。今のところ不自由なく使用できています。
 
移植治療にはメリット、デメリットの前に、できるかできないかのラインがあります。全ての方が必ず成功できるというわけではありませんが、10年ぐらいの生存率かもしれないけれどトライしてみるのは一つ方法として良いと思います。
 
気になる方はご相談ください。
 

 
 
 
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